がん保険は必要か?FPが冷静に解説【損得だけじゃない本当の理由】
こんにちは。奈良・橿原のFP、かながわFP相談所の金川です。
日本人の2人に1人が一生のうちにがんにかかると言われる時代。医療の進歩でがんは「治る病気」になりつつありますが、それに伴い、「治療費」だけでなく「生き続けること」そのものに伴う負担が見えにくくなってきました。
実は私自身、2025年の年末に膀胱腫瘍の手術を経験しました。結果は良性でしたが、病室で自分自身の「もしも」と向き合ったことで、これまで考えてきた「がん保険は必要か?」という問いを、改めて冷静に見直すことになりました。
この記事では、がん保険を「損か得か」だけで判断してよいのかという点について、FPとしての視点と実体験をもとに整理します。
がん保険が注目される背景:生存率向上と長期戦
医療技術の進歩により、がんは「短期決戦」ではなく、通院や経過観察が数年に及ぶ長期戦になるケースが増えています。
生存率が上がったことで、「助かるかどうか」よりも、「どう生き続けるか」が問われる時代になりました。
このとき問題になるのが、治療そのものよりも、治療が生活・仕事・家計に与える影響です。生存率が高いからこそ直面する「生き続けるリスク」については、こちらの記事で詳しく整理しています。
▶ がん生存率9割時代の盲点|最新データで見えた「生き延びた後」に必要なお金の話
公的医療保険だけで本当に足りないのか?
高額療養費制度があるため、入院費や手術費の自己負担には上限があります。これは事実です。
ただ、私自身が手術を経験して感じたのは、「制度として足りるかどうか」と「本人や家族が納得できるかどうか」は、必ずしも一致しないという点でした。
- 通院が長期化することによる仕事への影響
- 治療の選択を急がされる精神的な負担
- 家族への説明や判断を任されるプレッシャー
特に近年は、「最新医療=高額で保険が効かない」という誤解も多く見られます。実際には、公的保険で受けられる最新医療も増えています。
▶ 高須克弥院長のダヴィンチ手術と「100円の特約」の真実。がんFPが語る最新医療のリアル
がん保険で本当に考えるべきこと
がん保険の役割は、「医療費をいくらカバーできるか」だけではありません。
本質は、がんと告知された瞬間に、どれだけ冷静に判断できる状態を保てるかにあります。
治療方法の選択、仕事をどうするか、家族にどう説明するか。これらの判断を迫られる場面で、お金の不安が大きいほど、選択肢は狭まっていきます。
私はFPとして、がん保険を「治療費の保険」ではなく、「意思決定を守るための保険」だと考えています。
この考え方については、別の記事で体系的にまとめています。
▶ がん保険は「治療費」の保険ではない──生存率9割時代の「意思決定」を守る技術
「貯金があれば大丈夫」という考え方への整理
「貯金が数百万円あれば、がん保険はいらない」という意見もあります。
ただ、現役世代の場合、その貯金には多くの場合、教育資金・住宅・老後といった明確な目的があります。
がん治療をきっかけに、それらの資金を取り崩すことは、「治療費を払う」という問題以上に、将来の選択肢を削る行為になりかねません。
がん保険の一時金は、いわば何にも紐づいていない自由な現金です。この存在があることで、他の人生設計を崩さずに治療と向き合う余地が生まれます。
まとめ:がん保険は「冷静な判断力」を守る心の盾
がん保険は、損か得かだけで判断するものではありません。
私自身が手術室に向かう前に感じたのは、「選択肢をお金で制限されたくない」という率直な感情でした。
もしもの時に、自分や家族の判断を支える余裕を持てるか。そのための備えとして、がん保険をどう位置づけるかを、一度立ち止まって考えてみてください。