空想おかねシリーズ:崖の上のポニョ編・完全版──母リサの勇気と津波保険の現実

嵐の夜、母はハンドルを握った

『崖の上のポニョ』で、宗介を乗せて嵐の中を走るリサの運転
波がうねり、道路は冠水し、視界はほとんどない。
それでもリサはブレーキを踏まない。あの手は、命と責任を握っていた。

彼女の選択は、無謀か、勇気か――。
それを分けるのは、「守るべきものがあるかどうか」だ。

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リサの心理──恐怖よりも責任を選ぶ瞬間

リサは恐れていなかったわけではない。
でも、それ以上に「宗介を守らなければ」という使命が強かった。
人は危機下で、恐怖よりも責任を優先する傾向がある。
それは行動経済学でいう“確証バイアス”や“責任回避の逆転”に近い心理だ。

彼女の中では「危険を理解する理性」と「我が子を守る本能」がせめぎ合っていた。
この葛藤こそ、リスクと愛情の狭間で生きる人間そのものだ。

もし現実だったら──津波の中の車は安全か

現実の災害時、車での避難は極めて危険だ。
津波は50cmでも車を浮かせ、1mを超えると完全に流される。
そのため避難は原則徒歩であり、車は高齢者や乳幼児を運ぶ場合など、例外に限られる。

それでも「家族を守りたい」という想いが理屈を超えることがある。
リサの行動は、まさにその“例外”の象徴だ。
冷静さよりも愛情が勝つ瞬間――それを責めることはできない。

ケーススタディ①|津波で車が流された場合(全損)

もしリサの車が津波に飲まれてしまったら。
多くの自動車保険では、地震・津波による損害は免責だ。

ただし「地震・噴火・津波特約(全損時一時金)」があれば、一時金が支払われる場合がある。
条件は「全損認定」であり、被害届や廃車証明、写真などの提出が必要だ。
FPとしては、特約の有無・金額・申請手段を平時に確認しておくことを強く勧めたい。

ケーススタディ②|避難中に他車や建物へ接触した場合

津波から逃げる途中に接触事故を起こした場合、
津波そのものが原因でなければ、対物・対人賠償は補償対象になることが多い。
ただし、地震動が直接の原因と認定された場合は免責となる。

そのためFPは「警察届出・事故証明」の重要性を伝える。
災害時でも、事故日時・場所・状況・写真記録を残しておけば、請求可否が明確になる。

ケーススタディ③|生活再建と家計リスク

もし車が流され、生活手段を失ったら。
そこで活用できるのが、自然災害被災者生活再建支援制度や自治体の見舞金制度だ。

自動車税の減免や廃車証明を活用すれば、負担を減らすことができる。
FPとしては、保険・補助・再建費用の3本柱で支援設計を行う。
「お金の備え」「制度の備え」「行動の備え」――この三位一体が命を支える。

FPが見る“リサの選択”の意味

リサは恐怖よりも責任を選んだ。
彼女の行動は無謀ではなく、愛と覚悟が生んだ行動だった。
現実では、勇気のあとに制度や契約の壁が立ちはだかる。
そこに伴走するのが、FPの役割である。

奈良・橿原の暮らしでできる“備えの習慣”

奈良・橿原では津波の危険は少ないが、台風・河川氾濫・土砂災害は現実のリスクだ。
家族を守る「もしも」に備えるために、次の3つを整えておこう。

  • ① ハザードマップと避難経路を家族で確認
  • ② 自動車保険・地震特約の内容を把握
  • ③ 緊急時の連絡・資金確保ルールを共有

勇気は感情、備えは仕組み。
その両方が揃ったとき、人は本当に強くなる。

リサが教えてくれたこと

嵐の夜、リサはただ走った。
それは無謀ではなく、愛が導いたリスクマネジメントだった。
命を守る行動を支えるのが制度や保険であり、行動を導くのが想いだ。

FPの仕事とは、制度の冷たさを超えて、想いに寄り添うこと。
リサの勇気は、私たちが「誰かを守る覚悟」を思い出させてくれる。


※本記事は一般的な制度説明に基づいています。実際の補償内容や支払条件は各保険会社の約款によって異なります。避難時は何よりも命の安全を最優先に行動してください。


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