共済は本当に安いのか?FPが教える安さの裏にある3つの落とし穴と老後の現実

共済は安い。これは事実です。月々数千円で医療保障や死亡保障がつくため、家計に優しい設計であることは間違いありません。しかし問題は、「安い=合理的」と言い切ってよいのかという点です。

本記事では、感情論ではなく「制度・構造・数字」の観点から、共済と民間保険の本質を整理します。

① 共済と民間保険の「制度上の違い」

まず前提として、共済と民間保険は似て非なる制度です。その違いを表にまとめました。

項目民間保険共済
根拠法保険業法消費生活協同組合法等
監督金融庁所管官庁(農水・厚労など)
財務規制ソルベンシー・マージン比率等の厳格な開示開示制度はあるが枠組みが異なる

※共済が危険という意味ではありません。重要なのは、資本規制・開示義務・経営構造が根本から異なるという事実です。民間保険会社は長期負債を抱える金融機関として、将来の支払い能力を数値で示す厳しい義務を負っています。

② 設計思想の違い:保障額のレンジ

共済の医療保障は入院日額5,000円〜10,000円、死亡保障も数百万円規模が一般的です。これは「最低限を広く」守る思想に基づいています。

一方、民間保険は、3,000万円を超える死亡保障、三大疾病の一時金、先進医療特約、終身型など、長期かつ巨大なリスクを引き受ける設計が可能です。共済が弱いのではなく、そもそも設計思想が違うのです。ここを混同すると、適切なリスク管理はできません。

③ 若年層は本当に得か?

共済は年齢帯で掛金が一律の場合が多いですが、若年層にとってはこれが逆にコスト高を招くことがあります。30歳男性をモデルに考えた場合、民間のネット医療保険(終身型)の方が安く固定できるケースも少なくありません。

さらに重要なのは、「年齢は戻れない」という点です。今は共済で十分だとしても、将来加入し直す際には保険料が上がり、健康状態によっては加入不可となるリスクがあります。今の安さが将来の選択肢を狭めていないか、冷静な判断が求められます。

④ 「共済+投資で十分」論の検証

「浮いた保険料を投資に回せばよい」という主張は一見合理的です。しかし、死亡保障3,000万円を投資で作ろうとすれば、年利5%運用でも毎月約7万円を20年間積み立てる必要があります。その20年の途中で万一があれば、家族は守りきれません。

保険は少額で大きな保障を即時に確保できる「レバレッジ装置」であり、時間をかけて育てる投資とは、役割が根本的に違うのです。

⑤ 老後は保障不要という誤解

定年後は死亡保障を削るのは正しい判断です。しかし、共済の問題は生存保障まで自動的に減額される点にあります。医療を受ける確率が最大化する高齢期において、収入が年金のみになる中で保障が薄くなるのは、家計防衛上の大きな脆弱性となります。

公的な高額療養費制度は強力ですが、差額ベッド代や通院交通費、制度改定リスクまではカバーしてくれません。制度は固定ではない、という視点が長期設計には不可欠です。

⑥ 共済が合理的なケース

公平を期すために、共済が向いている層も明示します。独身で貯蓄が十分にあり、医療保障は最低限でよい、あるいは定年までの短期的なカバーを目的とする層には、共済は非常に合理的な選択肢となります。

⑦ 「営利=悪」ではない理由

保険会社が巨大ビルを持ち利益を出すのは、数十年後の支払い能力を維持するための「ALM(資産負債管理)」という高度な経営を行っているからです。これは単なる儲けではなく、将来の約束を果たすための構造です。

こちらの記事も参考に:
保険会社のビルは無駄?「儲けすぎ」と言われる生保経営の仕組みをFPが解説

⑧ 早く死ぬから保険はいらない?

若い頃は「長生きしないから保険はいらない」と考えるかもしれません。しかし、実際に病や死が現実味を帯びてきたとき、人の死生観は驚くほど変わります。保険は、未来の自分に医療の選択肢を残すための仕組みです。現在の覚悟で、将来のあなたの可能性を閉ざしてはいけません。

結論

共済は悪ではなく、民間保険も万能ではありません。安さだけで選ぶのは構造を無視した判断です。家族構成、貯蓄水準、将来設計、そして制度への理解。これらを踏まえ、リスクをどう配分するかが家計防衛の本質です。必要なのは「二択」ではなく、冷静な「最適化」です。


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この記事を書いた人

金川 崇(かながわFP相談所)
奈良県橿原市で活動する独立系FP・IFA。子育て世代向けのライフプラン・保険・家計改善・教育費相談を中心に活動中。
保有資格:AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/証券外務員二種/日商簿記3級

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