空想おかねシリーズ ドラゴンボール Z戦士編|悟空・悟飯・ベジータ・ピッコロは保険に入れるのか?FPが現実制度で徹底検証
孫悟空は保険に入れるのか?──悟飯の誕生日、チチの“あんた保険入りなさい!”から始まる物語
夜の山の家。悟飯の誕生日を祝うにぎやかな食卓のあと、静まり返った台所でチチの声が響いた。
「悟空さ、あんた……そろそろ保険くらい入りなさいよ!!」
悟空は頭をかきながら笑う。
「オラ、あんまりケガしねぇし、だいじょーぶだぞ?」
……いや、ケガしてる。めちゃくちゃケガしてる。
胸を貫かれたり、岩に叩きつけられたり、死にかけたことも一度や二度じゃない。
この夜から──“悟空は現実の保険制度で加入できるのか?”という検証が始まった。
■悟空のケガはほぼ100%戦闘行為。しかし制度的には「証明不能の世界」
まず前提として、悟空の受傷理由はほぼすべて戦闘行為。
- ラディッツに胸を貫かれる
- 界王拳で自傷
- ナッパに全身を叩きつけられる
- フリーザ戦で瀕死
本来なら、現実の生命保険・医療保険では免責のトップカテゴリ。
しかし、ドラゴンボール世界は“制度の前提”が根本的に違う。
●① 戦闘によるケガの「証跡が存在しない」
- 救急搬送という概念が曖昧
- 医者は戦闘内容を理解できない
- 診断書は「全身打撲」など大雑把
- 事故記録・警察記録が存在しない
現実の制度では、支払い可否は原因の立証が必須。
だが悟空の世界では、原因を証明する手段が消えている。
悟空が
「修行で転んだだけだぞ」
と言えば、保険会社は反証できない。
●② 告知書も“全ていいえ”で通ってしまう謎世界
悟空には医療介入がほぼない。
入院も、手術も、診察も、ほぼ描写されない。
つまり告知書では
- 過去5年以内の入院 → なし
- 過去5年以内の手術 → なし
- 持病・既往症 → なし
となり、制度上は全項目「いいえ」で通る。
職業は農業従事者として成立。
体格・健康状態・生活習慣も優良。
結果:審査は“優良体”の可能性すらある。
■悟空は保険に加入できるのか?結論:できる。しかも優良体寄り。
悟空の戦闘人生とは裏腹に、制度の“盲点”が重なって加入可能となる。
現実世界では「偶然性の欠如=不可」だが、ドラゴンボール世界ではその偶然性を立証できない。
つまり制度上は、悟空は“極めて優秀な健康体の農家”に見えてしまう。
これはフィクションの世界だから起きる完全な矛盾だが、だからこそ制度理解が深まる。
■悟空編から読み取れる、読者へのリアルな学び
- 告知義務は「事実」に基づいて書く
- 免責は“原因”が重要で、事故性の立証が前提
- 制度は現実世界の前提があってこそ成立する
- 悟空は特例であって、読者は真似しちゃダメ
孫悟飯は保険に入れるのか?──セルゲーム後、チチの“あんた正直すぎるのよ!”という嘆きから始まる物語
セルゲームが終わり、世界がようやく静けさを取り戻したころ。山の家にも平穏が戻り、悟飯は机に向かって勉強していた。
ふと、後ろからチチのため息が聞こえる。
「悟飯ちゃん……あんたはええ子すぎるでね。保険とか入っても、全部ほんまのこと言うて損するタイプやわ……」
悟飯は首をかしげる。
「え? だって本当のことを言うのが一番でしょう?」
──その瞬間。
悟飯が現実世界の保険制度において“どえらい弱点”を持っていることが判明する。
■悟飯の最大の弱点──“正直すぎる性格”が制度と正面衝突する
悟飯は誰よりもやさしく、誠実で、曲がったことが大嫌いな少年。
だがこの誠実さこそ、保険制度では最も不利に働く瞬間がある。
●①「どうしてケガしたんですか?」への回答がすべてを左右する
保険金の支払いには、“原因の確認”が必須。
戦闘・闘争行為・故意は明確な免責に該当する。
悟空なら多少ごまかして
「ちょっと修行でな。転んじゃってよ〜」
で押し通せるが──
悟飯は100%こう答える。
「セルに殴られました!」
はい即アウト。
戦闘=免責。
しかも世界を滅ぼしかけた生命体との戦闘、事故として扱えない。
●② 本人の誠実さがそのまま“査定の不利”になる稀有なケース
通常、保険制度においては正直さは最大の美徳。
告知義務も支払い時の申告も「事実を正しく伝える」のが絶対。
だが悟飯のケースは「フィクション世界特有」。
“闘争行為”を隠すという前提がそもそも存在しない。
保険会社は原因確認で免責を判断するため、
悟飯の誠実さがそのまま「支払われない理由」になってしまう。
●③ 加入はできるが、給付が弱くなるタイプ
加入審査そのものは通る。
悟飯は健康で学業中心、生活習慣も安定している。
ただし支払いの場面になると、
正直すぎる申告で“戦闘行為扱い”になりやすい。
つまり保険そのものは入れるが、
保険の“力を出し切れない”珍しいケース。
■悟飯は保険に加入できるのか? 結論:できる。ただし“正直さが弱点”
- 健康状態 → 問題なし
- 職業 → 学生(低リスク)
- 告知 → 全項目「いいえ」で通る
- 加入審査 → 抜群に通りやすい
しかし──
支払い時の申告で、ほぼ確実に“戦闘行為”を正直に言ってしまう。
これが現実制度との最大の齟齬(そご)。
■悟飯編から読み取れる、読者へのリアルな学び
- 保険は「加入時」より「支払い時」の因果関係が重要
- 免責(戦闘・闘争行為)は制度上かなり厳格
- フィクション世界の“闘い”を現実に持ち込むと制度が成立しない
- 悟飯のような誠実さは素晴らしいが、「事故性」の理解も大事
悟飯編は、制度をきれいに理解できる良い教材。
ベジータは保険に加入できるのか?──王子の矜持と“闇歴史”が制度と真正面からぶつかる物語
夜の重力室。うなりを上げる重力コントロールの音の中、ベジータは黙々と修行を続けていた。
ふと、ブルマが書類を片手に部屋へ入ってくる。
「ちょっとベジータ! あなたも保険くらい入っておきなさいよ。家族なんだから!」
ベジータは軽く鼻で笑った。
「くだらん。俺が保険など必要とすると思うのか?」
……その瞬間。
カプセルコーポレーションは“現実の保険制度では彼が契約できるのか?”という究極の案件に直面した。
■ベジータが制度的に“最難関”である理由──まず職業から詰む
保険の審査では、加入者の職業が非常に重要だ。
しかしベジータは、この時点で詰む。
●① 「サイヤ人の王子」 → 職業欄に書けない
職業として成立していない。
歴史上の肩書きと同じ扱いで、業務内容が定義できない。
●② 「戦闘民族」 → 高リスクすぎて引受不可
戦闘行為を業務として行う者は、保険の基本ルールで引受対象外になる。
プロ格闘家でも、危険階級の職種は制限される。
まして惑星破壊クラスの戦闘は、制度の想定外。
●③ 地球防衛? → 引受基準外
戦闘行為を前提とした任務は、制度の外にある。
■さらに厄介なのが“態度”──募集の段階で止まる可能性
現実世界の保険募集には、以下の要件がある。
- 暴言・威嚇がある相手には適切な募集ができない
- 反社会的勢力と疑われる相手とは契約できない(反社排除規定)
- 募集人の安全が確保できない場合、勧誘を中止できる
ベジータは、これらに複数抵触する。
募集人が説明を始めた瞬間に、
「貴様、俺に指図する気か?」
などと言われたら、募集人は“適切な募集が不可能”と判断し、
その場で募集を中止するのが制度上の正しい対応。
しかもあの剃り込み、あの威圧感、あの態度──
反社排除規定のチェックにも引っかかる可能性が高い。
■過去の行動歴も“前科”として査定に影響してしまう
保険の審査では、過去の行動は一定の参考材料になる。
ベジータの場合──
- 複数の惑星破壊
- 大量殺戮の前歴(サイヤ人時代)
- 極度の攻撃性
- 暴力的行動パターンの継続
これらは現実世界では反社会的行為に該当。
保険以前に、金融取引の相手として成立しない。
まして魔人ブウ編で額にタトゥー(魔の紋章)まで刻んだら、
審査は完全にアウト。
■ベジータは保険に加入できるのか? 結論:ほぼ100%加入不可
理由を整理すると──
- 職業が制度上定義できない
- 戦闘行為が業務に含まれている
- 態度・暴言で募集が成立しない
- 反社排除規定に抵触する
- 過去の行動歴が“金融取引不可”レベル
結果:加入不可。
制度との整合性が最も取れない男である。
■ベジータ編から読み取れる、読者へのリアルな学び
- 職業は保険審査の最重要項目のひとつ
- 募集は“安全確保・適切な態度”が前提
- 反社排除規定は保険会社にも適用される
- 制度は“善悪ではなくリスク”で判断される
ベジータのように極端なケースは現実に存在しないが、
制度を見る視点としては非常に分かりやすい題材だ。
ピッコロは保険に加入できるのか?──“再生”と“同化”という制度を揺るがす能力を持つ男
夜の神殿。月明かりが差し込む静かな回廊で、ピッコロはひとり瞑想を続けていた。
その後ろから、そっと足音が近づく。デンデだ。
「ピッコロさん……あなた、本当に保険とか入れるんでしょうか……?」
ピッコロは片目だけを開く。
「……なぜだ」
デンデは困り顔のまま続ける。
「だって……あなた、腕ちぎれても治るし……別の人と同化するし……」
──そう。
Z戦士の中でも、ピッコロは“制度に最も向いてない身体構造”を持つ。
■ピッコロ最大の問題①──「再生能力」が障害認定の前提を壊す
まず最も制度と相性が悪いのが再生能力。
ピッコロは腕を吹き飛ばされても、数秒あれば再生できる。
しかし現実の障害認定は、
- 一定期間、状態が持続していること
- 回復見込みに時間を要すること
この2つが大前提。
ピッコロの場合──
「ちぎれた腕が即日再生」=障害に該当しない
これは保険制度の“根本ルール”を否定する能力と言っていい。
■ピッコロ最大の問題②──“同化”によって同一性が喪失する
ネイルとの同化、神様との同化。
ピッコロは別人格の融合を複数回経験している。
現代法の考え方では、保険契約は
「契約時点でリスク評価した“その人”と同一であること」
が前提になる。
しかし同化によって、
- 人格が変わる
- 能力が変わる
- 身体性が変化する
つまり制度としては、
「契約時の人物と別人になってしまった」
という扱いになる。
これは生命保険でも医療保険でも、
契約の同一性が維持できない=制度が成立しない状態。
■ピッコロ最大の問題③──そもそも“人間ではない”ため前提条件を満たさない
保険制度は、「人間(または法人)」を対象として設計されている。
ピッコロはナメック星人という異星種族で、
- 生理構造
- 寿命
- 治癒プロセス
が人類と完全に異なる。
つまり制度の前提から外れており、
審査基準を適用すること自体が不可能。
これは“差別”ではなく、
評価方法が存在しない=引き受けられないという純粋な制度上の理由。
■ピッコロは保険に加入できるのか? 結論:制度が成立しない(加入困難)
理由を整理すると──
- 再生能力で障害認定の概念が崩壊
- 同化によって契約の同一性が保てない
- そもそも人間ではなく基準が評価できない
この3つが重なるため、ピッコロは制度上“加入困難”。
ただし、致命傷レベルのダメージを受けても回復可能なため、
そもそも保険を必要としないという超特殊な立ち位置になる。
■ピッコロ編から読み取れる、読者へのリアルな学び
- 障害認定は「状態が持続していること」が大前提
- 保険契約は“契約時と同じ人物”であることが条件
- 制度は“人間の身体性”に合わせて作られている
- ピッコロのような“変化する前提”の人物は制度が追いつかない
フィクションを通すことで、
保険の根幹となる考え方が直感的に理解できる。
■4人を比較して見えてきた現実の“制度の本質”
悟空・悟飯・ベジータ・ピッコロ──。
4人のキャラクターに現実の保険制度を当てはめることで、制度の本質が浮かび上がる。
●悟空:原因立証ができない世界では“制度が機能しない”
本来は免責級のケガばかりなのに、原因の裏取りができない世界では優良体になってしまう。
制度は「現実世界の前提があるから動く」という当たり前の事実を思い出させてくれる。
●悟飯:正直さは尊い。しかし“事故性の理解”がなければ守りは機能しない
ウソをつけない悟飯は、戦闘行為をそのまま申告してしまう。
保険は加入だけでなく、支払い時の因果関係が最重要であることがよく分かる。
●ベジータ:リスク評価は“善悪”ではなく“制度”で判断される
前歴、態度、職業、危険行為──。
ベジータは制度側から見れば、加入不可になる理由が積み重なっている。
制度は感情論ではなく、安全性とリスク管理で動いている。
●ピッコロ:再生・同化という“存在の変化”は制度が追いつかない
障害認定の前提を崩し、契約の同一性というルールにも抵触する。
そもそも“人間ではない”ケースは制度の外側にあり、評価方法そのものが存在しない。
■空想だからこそ、読者が学べること
4人を通して浮かび上がるのは、保険の根本原則。
- 制度は「人間の身体」「社会の前提」「事故性」の上に成立する
- 告知義務は“事実”が基準であり、正確さが最重要
- 免責は“原因”で判断される。感情ではない
- 制度はフィクションの能力や世界観では成立しない
ドラゴンボールの世界は“制度の外側”だが、
その外側を理解することで逆に現実の制度がくっきり見える。
これが空想おかねシリーズの魅力であり、
保険を「自分ごと」として捉える入り口になる。
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