iDeCoはおすすめだけど“流動性は最悪”?年末調整の節税メリットと、私が実際に感じたもどかしさをFPが本音で解説
年末調整の時期になると、iDeCoの節税メリットが一年で最も“可視化”されます。控除証明書を提出するだけで税金が下がり、掛金全額が所得控除になる──制度としては本当に優秀です。
しかし同時に忘れてはいけないのが、「流動性が極めて低い」という現実です。
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2024〜2025年、制度環境が大きく変わっている
なお、2024〜2025年はiDeCo・企業型DCの制度調整や、NISAの恒久化・上限拡大など「お金の置き場所」をめぐる環境が大きく変化しています。制度そのものがアップデートされているため、最新のルールと家計の状況を踏まえて選ぶことが重要です。
iDeCoは“おすすめ”である。だが万能ではない
大前提として、iDeCoは節税メリットの一点で最強クラスです。
- 掛金がそのまま所得控除 → 年末調整で税金が下がる
- 運用益は非課税
- 受取時も退職所得控除・公的年金控除が使える
- 老後資産形成で複利効果が最も活かせる制度
私自身、iDeCo口座の資産はしっかり増えています。制度の本質的な強さは間違いありません。
ただし、流動性は“保険より悪い”という衝撃の事実
iDeCoの最大の弱点は、途中で引き出せないこと。これは単なるイメージではなく制度上の事実です。
iDeCoは、貯蓄型保険よりも流動性が低い。
保険は途中解約すると損をしますが、解約すれば現金化できます。しかしiDeCoは、損得以前にそもそも現金化ができないのです。
これはキャッシュフロー変動の大きい子育て家庭・自営業・転職が多い人にとって大きな注意点になります。
私自身「今ちょっと出したいのに出せない」もどかしさを経験している
実体験として、私(金川)自身もiDeCoで資産は順調に増えていますが、正直に言うと──
「今このタイミングで少し出せたら助かるのに…」
という瞬間が何度もありました。制度なのでルールは絶対ですし納得の上で加入していますが、それでも人生の変化によっては“流動化できない辛さ”を痛感します。
iDeCoと企業型DCの違いと“選び方のポイント”
会社員の場合、勤務先で企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入していることがあります。この場合、iDeCoとは次のような違いがあります。
- 企業型DC:会社がメニューを決める
- iDeCo:自分で商品を選べる
- 同時加入できるかは会社規約で決まる
節税メリットだけで判断すると、制度の相性を間違えるケースがあるため、全体の家計バランスを見て判断する必要があります。
預金・NISA・iDeCoの3つは「役割」が違う
お金の置き場所は、比較よりも“役割”で考えるほうが合理的です。
- 預金:緊急時に使える“即戦力”の流動性
- NISA:中期〜長期資産形成(必要なら売却可能)
- iDeCo:老後資産+節税メリット(途中引き出し不可)
この3つをどれか1つではなく、どの比率で組み合わせるかが家計の安定性を左右します。
iDeCoで失敗する家庭の典型パターン
- 生活防衛資金が不足しているのに掛金MAX
- 住宅ローン・教育費と時期が重なっている
- NISAなど流動性のある資産が減る
- 転職・収入変動リスクを考えていない
iDeCoそのものが悪いのではなく、キャッシュフローとの相性がすべてです。
結論:iDeCoは素晴らしいが「余力」が前提
年末調整の節税を実感すると掛金を増やしたくなりますが、勢いで増額すると家計の柔軟性を失います。
制度の比較を踏まえると、iDeCoは老後資産として優秀ですが、生活費・教育費・住宅費などのキャッシュフローを無視すると家計が硬直化します。
iDeCoはおすすめ。ただし「余力があり、長期で触らなくて済む人」限定。
iDeCoのメリット・デメリットを正しく理解し、自分の生活と照らし合わせて選べば、大きな力になる制度です。「掛金、このままで良いのかな?」と感じたら、ライフプラン全体で判断するのが失敗しない方法です。
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