腱板断裂の疑い→手術で判明した「関節唇損傷」。奈良のFPが語る医療費と保険のリアル
半年治らない肩痛──これは五十肩ではなかった
※手術に至るまでの経緯(近所の整形外科 → 医大 → T-PECで専門医紹介 → 大和高田市立病院へ)は、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶ 【実体験】T-PEC(ティーペック)でセカンドオピニオンを取り、手術を決めるまでの流れ
奈良県橿原市でFPとして働く私ですが、この半年、右肩の痛みと可動域制限に苦しんできました。
最初の診断は「五十肩でしょう」。注射と痛み止めで一時的に良くなっても、すぐ痛みが戻る。夜も寝返りが打てず、家事も仕事も支障が出始めていました。
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「これはおかしい」と思い、MRI検査を受けることにしました。
MRIでは「腱板断裂の疑い」
検査後、医師からの説明は次のとおりでした。
「腱板断裂の可能性があります。手術も選択肢です」
手術を決めるのは本来とても重い判断です。費用、仕事、リハビリ、生活の制限──どれも簡単には決められません。
それでも手術を即決できた理由
即決できたのは、医療保険による保障があったからです。
この安心があったことで、「お金の理由で治療を先送りにする必要がない」と判断できました。
過去にも医療保険に助けられた経験がある
実は、過去に椎間板ヘルニアで入院した際にも医療保険に助けられたことがあります。そのときの体験はこちらにまとめています。
▶ 椎間板ヘルニアの手術・医療費・保険給付のリアル(FP実体験)
ただ今回の肩のケースは、生活そのものが止まるレベルで負担が大きく、保険の価値をより強く実感しました。
手術して判明したのは「関節唇損傷」だった
手術後の説明は予想外でした。
「腱板は縫う必要はありません。主原因は関節唇(かんせつしん)の損傷でした」
関節唇(かんせつしん)は、肩の関節をぐるりと囲む“フチ”のような軟骨状の組織で、肩の安定性を保つ重要な部分です。
ここが剥離すると、痛みや可動域の制限が長期化し、自然に元通りになることは難しいと言われています。
整形外科では、術前の画像診断と術後の診断に差が生じるケースは珍しくありません。術式・制限・リハビリの流れは、腱板損傷でも関節唇損傷でもほぼ変わらず、今回の手術判断は結果的に正しかったといえます。
入院より大変なのは“退院後”だった
入院は2泊3日。しかし本当に大変なのはその後でした。
- 右腕完全固定(スリング)
- 片手生活で家事・仕事の効率が激減
- 着替え・食事・洗顔などすべて時間がかかる
- 寝返りも困難
- シャワーの制限
- 荷物が持てない
そして最も負担が大きかったのが通院とリハビリです。
奈良・橿原の“徒歩距離”が負担を倍増させる
橿原市のような地方都市では、病院が駅から徒歩10〜20分というのは珍しくありません。
術後のスリング状態で歩くのは転倒リスクが高く、ほぼすべての通院をタクシーで行いました。
- 1回あたり1,000〜2,000円
- 週2回のリハビリで月1〜2万円
医療費そのものより、移動・生活コストが積み上がる現実を痛感しました。
医療費控除は助かるが、“生活のしんどさ”までは救えない
今回のタクシー代は、右腕固定で公共交通機関が利用困難だったため、医療費控除の対象になります。
ただし控除で軽減できるのは、あくまで医療費と「やむを得ない通院」の一部だけです。
- 片手生活で必要な追加支出
- 家事負担の増加
- 仕事効率の低下
- 生活時間のロス
これらの“生活のしんどさ”は制度の範囲外です。
正直な本音:通院特約つけておけば良かった
今回あらためて痛感したのは、「通院特約はつけておけば良かった」という点です。
特に整形外科系のケガ(肩・膝・腰)はリハビリ通院が長期化しやすく、通院特約の価値が非常に高いと感じました。
さらに奈良・橿原のように徒歩距離が長く、タクシー利用が増える地域では負担が倍増します。
FPとしての学び:医療保険は“生活の自由”を守るもの
- 五十肩と思っていても別疾患の可能性はある
- MRIでも確定しにくいケースはある
- 制度は医療費の一部しか救えない
- 本当に重いのは“退院後の生活負担”
- 整形外科系のケガは通院特約が重要
- 保険があると治療判断を迷わずに済む
医療保険は「命の保険」だけではありません。“迷わず治せる自由”と“生活を守る安心”を買う保険だと強く実感しました。
【2025年12月追記】診療明細が出たので、実際の医療費を整理してみた
肩の手術・入院からしばらく経ち、ようやく「入院診療費請求書(診療明細)」が手元に届きました。
せっかくなので、FPらしく数字の面からも振り返ってみたいと思います。
入院2泊3日・肩関節唇損傷手術の医療費はどれくらいかかったか
診療明細の「総点数」「合計」の欄を見ると、今回の入院・手術にかかった医療費(10割ベース)は次のようになっていました。
- 医療費総額(10割):636,120円(63,612点)
- 高額療養費適用後の自己負担(保険診療部分):83,791円
- 食事療養費:2,550円
- 差額ベッド代(個室3日分):13,860円
これらを合計すると、実際に病院の窓口で支払った金額は、
83,791円 + 2,550円 + 13,860円 = 100,201円
となりました。
2泊3日とはいえ、10割ベースでは63万円超。肩の関節鏡手術がいかに高額な医療であるかが数字からも分かります。
高額療養費と医療費控除の“守備範囲”
今回のケースでは、自己負担が一定額を超えていたため、高額療養費制度の対象になりました。
本来なら3割負担で20万円近くかかるところが、自己負担は約8万3千円に抑えられています。
さらに、
- 入院・手術の自己負担分(3割部分)
- その後の通院の自己負担分
- 右腕固定でやむを得ず使ったタクシー代
入院・手術の自己負担分(3割部分)、その後の通院の自己負担分、右腕固定でやむを得ず使ったタクシー代などを1年間分まとめると、医療費控除の対象となる水準に達する見込みです。(なお、医療費控除の計算では、支払った医療費から「医療保険の給付金などで補填された金額」を差し引く必要があります。あくまで、保険などでカバーしきれなかった“自己負担分”が医療費控除の対象になる、というイメージです。)
一方で、
- 片手生活で増えた食費・外食・デリバリー代
- 家事負担の増加分
- 仕事効率の低下による売上への影響
といった部分は、制度の範囲外で一切カバーされません。
「医療費の一部は戻るけれど、生活のしんどさまでは救えない」という現実を、あらためて実感しました。
見落としがちな出費:装具代と入院セット
今回、もうひとつ大きかったのが装具(スリング)の費用です。退院後に装具業者へ約17,450円を振り込み、その後に領収書が発行されます。この装具代は、条件を満たせば健康保険の「療養費」として保険組合に申請できるため、しっかり書類を残しておくことが大切だと感じました。(3割負担なので自己負担は5,235円)
一方で、入院中はタオル・パジャマ・コップなどの日用品を1日500円のレンタルセットでまとめて借りました。これは医療費控除の対象にはなりにくい部分ですが、実際のところは「自分で全部そろえる手間」と「洗濯の負担」を考えると、かなりコスパが良くて助かったサービスです。
医療保険で実際にいくらカバーできたか
今回、私が加入していた医療保険からは、次のような給付が出る見込みです(現在給付審査中ですが、約款上はいずれも対象になる想定です)。
- 入院給付金:日額5,000円 × 3日 = 15,000円
- 入院一時金:200,000円
- 手術給付金:50,000円
合計すると、保険からの給付見込み額は、
15,000円 + 200,000円 + 50,000円 = 265,000円
となります。
窓口で支払った金額(100,201円)だけで見ると「手術代は高いな」と感じますが、
医療保険の給付まで含めて家計全体で見ると、むしろプラスになっているのが今回の特徴です。
もし医療保険に入っていなければ、
- 「もう少し様子を見てから…」と手術を先送りにしていた
- タクシーではなく、無理に公共交通機関を使っていた
可能性が高く、結果的に回復も遅れていたかもしれません。
「お金の不安なく、ベストな治療を選べる状態をつくる」という意味で、医療保険の役割を強く感じました。
実際にかかったお金から見えた“準備しておきたいポイント”
診療明細と保険給付を並べてみて、FPとしてあらためて感じたポイントは次のとおりです。
- 整形外科系の手術は、短期入院でも医療費総額は50万〜60万円台になることがある
- 高額療養費・医療費控除は心強いが、「あとから戻る仕組み」であることを忘れない(高額療養費は、限度額適用認定証を事前に出せば窓口負担を抑えることもできます)
- 通院特約があれば、リハビリ通院やタクシー代の心理的負担をもっと軽くできた
- 医療保険があることで、「手術する/しない」の判断を、お金ではなく医療的妥当性で決めやすくなる
五十肩だと思っていても、実は関節唇損傷のような別疾患だった──というケースは珍しくありません。
「まだ若いから大丈夫」「そこまで大きな病気はしないだろう」と思っていても、ある日突然、まとまった医療費が発生することがあります。
今回の経験を通じて、FPとしても「公的制度+民間保険+生活防衛資金」のバランスを、これまで以上に具体的にお伝えできそうだと感じています。
同じように、肩や膝・腰の痛みで悩んでいる方や、手術を勧められて迷っている方は、一人で抱え込まずに相談してもらえたらうれしいです。
※本記事の金額や制度の取り扱いは、筆者のケース(2025年時点)をもとにした一例です。健康保険の種類・収入・加入している保険商品などによって結果は異なりますので、実際の手続きや給付の可否は各窓口・保険会社にご確認ください。
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