【空想おかねシリーズ】イカゲームの賞金456億円、日本では1円も残らない理由|不法収入・税金・保険をFPが検証
雨の中、路地裏に集められた人々。
借金、失職、家庭崩壊。
もう後がない人間だけが差し出された、たった一枚の名刺。
「参加は自由です」
「命の保証はありません」
「すべて自己責任です」
──そう書かれた“同意書”にサインした瞬間、このゲームは始まる。
『イカゲーム』は、極限状態の人間を描いたデスゲーム作品です。
しかし、奈良・橿原でFPをしている私の目には、どうしても別のものが見えてしまう。
「この賞金、日本で受け取れるわけがない」
「勝った瞬間から、法的には詰んでいる」
今回はこのイカゲームを、
税金・民法・刑法・保険・相続という現実の制度で、ロマン一切なしに検証します。
結論:イカゲームの賞金456億円は「合法な収入として成立しない」
まず結論から。
イカゲームの賞金456億円は、日本の法律では収入として成立しません。
理由はシンプルです。
このお金は、不法行為を前提として得られた対価だからです。
日本の民法には「不法原因給付」という考え方があります。
違法な行為を原因として得た利益については、法律はそれを保護しない。
殺人・傷害・監禁・強要。
イカゲームは、どれを取ってもアウト。
つまり、勝者が「賞金をよこせ」と請求する権利そのものが存在しないのです。
税金を払う以前に、お金として認められない。
「自己責任」「同意書」は通用するのか?
多くの人がこう思うはずです。
「でも参加者は同意していたよね?」
「自己責任って書いてあったよね?」
結論から言います。
一切、通用しません。
日本法では、
殺されることに同意しても、殺すことに同意しても、犯罪は犯罪。
同意書があっても、
殺人罪・傷害致死罪・監禁罪・賭博開帳図利罪は消えません。
あの同意書は、法的にはただの紙切れです。
主催者側が負う現実の責任
主催者側は、ほぼフルコンボでアウトです。
- 殺人罪(共謀共同正犯)
- 賭博開帳図利罪
- 監禁罪
- 強要罪
さらに重いのが、遺族に対する損害賠償責任。
参加者一人ひとりについて、
逸失利益・慰謝料を個別に請求されます。
456人分です。
456億円どころでは済みません。
「保険で何とかならないのか?」という幻想
FPとして、はっきり言います。
なりません。100%無理です。
理由は明確。
- 故意の犯罪行為
- 重大な法令違反
これは、すべての保険で免責です。
生命保険も、賠償責任保険も、犯罪の後始末はしてくれません。
遺族に残るのは何か
最も残酷なのはここです。
参加者が死亡した場合、
- 賞金:存在しない
- 保険金:出ない可能性が高い
- 借金:普通に相続される
命を賭けて、家族に残るのは借金だけ。
イカゲームは、
「負けたら死ぬ」ゲームではありません。
勝っても救われないゲームです。
空想から学ぶ、現実のお金のルール
お金は、ルールの外に出た瞬間、価値を失う。
違法・強制・暴力。
この上に積み上げたお金は、法も制度も保険も守ってくれません。
イカゲームは、
「一発逆転」を夢見た人間が、全員負ける物語です。
まとめ
イカゲームの参加者は夢を見ました。
しかし現実では、
- 参加者:命+借金
- 主催者:刑務所+賠償
- 遺族:何も残らない
全員が負けています。
空想おかねシリーズは、
フィクションを笑うためのものではありません。
現実の制度を、少し賢く生きるための視点です。
「もう後がない」と感じたときほど、
やってはいけない選択肢が、いちばん甘く見える。
FPとして、強くそう感じています。
奈良・橿原でお金の相談なら
かながわFP相談所では、
借金・家計・保険・老後資金など、お金の悩みを整理するお手伝いをしています。
「何から考えればいいかわからない」
そんな段階でも大丈夫です。
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