怪獣になっても給付金は出る?危険な職業の医療保険と告知義務のリアル

アニメやマンガの世界をFP視点で考察する「空想おかねシリーズ」。今回は、今もっとも熱い作品のひとつ『怪獣8号』の世界に飛び込んでみます。

実は、怪獣になっても医療保険は出る可能性が高いんです。

主人公の日比野カフカって、怪獣になる前は「モンスタースイーパー」っていう会社で働いてましたよね。防衛隊が倒した巨大怪獣の死体を解体して片付ける、いわば「怪獣清掃のプロ」。大量の血や謎の体液を浴びる、普通のサラリーマンとは比較にならないほどリスクの高い環境です。

じゃあ、彼がもし怪獣化する前に「最近キツいし医療保険でも入っとくか」と思ったら、あんな危険な職業でも入れるのか。結論から言うと、意外なほどすんなり入れます。

危険な職業でも医療保険に入ることはできる?

保険に申し込むとき、必ず職業を聞かれます。FPの実務でお客さんと話していると、「え、なんで保険に入るのに仕事の内容が関係あるの?」とそもそもご存知ない方がほとんどです。仕事によってケガや死亡のリスクが違うからなんですね。

保険業界で「危険な職業」の例としてよく出すのが、F1レーサーやプロレスラーです。なんとなく、ケガのリスクが高いのはわかりますよね。ああいう職業だと、死亡保険に入る時に「危険すぎるので保険金の上限を下げます」と制限がつくことがあります。

でも、医療保険は死亡保険ほどシビアじゃありません。カフカ自身が健康診断で特に引っかかってさえいなければ、モンスタースイーパーという職業を理由に医療保険を門前払いされることは、ほぼないはずです。

で、ここからが本題です。カフカ、怪獣になっちゃいましたよね。もしあの状態で防衛隊の施設に入院したら、給付金ってもらえるのでしょうか。

これ、実務の感覚からすると給付される可能性が極めて高いんです。なぜなら、保険のルールブックである「約款」はめちゃくちゃ冷たいから。

保険会社が見ているのは「お医者さんが病名をつけて、入院の指示を出したかどうか」だけです。この患者が正義の味方だろうが、未知のウイルスだろうが関係ない。書類の上の「詳細不明の感染症」といった診断名と入院日数だけで、事務的に給付金が振り込まれます。

労災と医療保険、実は両方もらえるという現実

もうひとつ、現場でよく聞かれるのが「仕事中のケガや病気なら労災が出るから、民間の保険はもらえないんでしょ?」という誤解です。

これ、完全に別物なので両方もらえます

以前、建設現場で大ケガをして入院した職人さんの給付金請求を手伝ったことがあります。仕事中だったので、当然治療費は労災から全額出て、窓口での支払いはゼロ円でした。おまけに休業補償まで出ます。

でも、彼が個人的に入っていた民間の医療保険からも「入院1日1万円」の給付金が数十万円単位でドカンと振り込まれました。本人は「え、治療費タダだったのに、こんなに現金もらっていいの?」と驚いていましたが、これが定額給付型の医療保険のリアルです。

だからカフカの場合も、仕事中の体液曝露が原因の怪獣化なら、労災で治療費をカバーしつつ、民間の医療保険から給付金を満額受け取れる可能性が高いわけです。

怪獣になるより怖い「告知義務違反」の裏話

ただ、私がFPとしてこの記事で一番伝えたいのは、怪獣になること自体よりずっと怖い「告知」の話です。

保険に入るとき「今、病気してませんか?健康診断で引っかかってませんか?」と聞かれますよね。これを告知義務と言います。もしカフカが、自分の中に怪獣の因子があるなんて微塵も知らなかったらセーフです。自覚症状ゼロならそれは未来の予期せぬトラブル扱いなので、あとからバケモノになろうが給付金は出ます。

でも、もしモンスタースイーパー社の定期健診で「謎の数値に異常あり。要精密検査」って引っかかっていたのに、それを無視して黙って保険に入っていたらどうなるか。これは完全にアウトです。

実務でもこういうケースは本当にあります。健康診断で「肝臓の数値異常・要再検査」と出ていたのを隠して保険に入り、1年後に入院した人がいました。保険会社には調査部というプロの部隊がいて、過去のカルテや健診記録を徹底的に洗います。結果、「知っていたのに言わなかったですよね」と告知義務違反になり、給付金は1円も払われず、その場で契約も解除されました。

怪獣になったからダメなんじゃない。入る時に都合の悪い事実を黙っていたからダメなんです。

未来は誰にもわからないからこそ

アニメの極端な話をしているようですが、これは現実の私たちの生活とまったく同じです。

将来どんな病気になるか、いつ働けなくなるかなんて誰にもわかりません。でも、保険に入るときの「告知」だけは、自分の意志で正しくコントロールできます。この最初のボタンを掛け違えると、いざという時にせっかくの保険がただの紙切れになってしまいます。

今の自分の保険の入り方や、告知の内容に「そういえばあの時、ちゃんと申告したっけ……」と少しでもモヤモヤしているなら、何も起きていない今のうちに見直しておくのが一番です。奈良の橿原市周辺にお住まいで、自分の備えに不安がある方は、いつでもかながわFP相談所までふらっと聞きに来てください。