空想お金シリーズ:イニシャルD編|藤原とうふ店の自動車保険と走り屋バトルの現実
藤原家と走り屋バトルを、現実の保険で読み解く
峠を駆け抜けるハチロク、夜の山道に響くエンジン音。
『イニシャルD』は、クルマ好きなら一度は胸が高鳴る作品ではないでしょうか。
今回はその世界を少しだけ現実に寄せて、「もし藤原とうふ店や走り屋バトルを、現実の日本の保険制度で扱ったらどうなるのか」という視点で整理してみます。
作品を否定する意図は一切なく、あくまでフィクションと現実の制度を並べて楽しむ「空想おかねシリーズ」の一編です。
奈良・橿原周辺で「うちの自動車保険、このままで大丈夫?」と気になった方へ。
LINEで気軽に質問していただければ、保険の見直しや家計とのバランスを一緒に整理します。
第1章 藤原家のAE86を、現実の保険で考えてみる
藤原家は「父と息子の2人家族」だからこそ重要になるポイント
藤原家の構成はシンプルです。
- 父:藤原文太
- 息子:藤原拓海
ハチロクの任意保険を現実に置き換えると、多くの家庭と同じく「契約者は父親」というイメージになります。
- 契約者:文太
- 保険証券上の「主な使用者」:文太(と申告していると仮定)
- しかし、実際に毎朝峠を走っているのは拓海
ここで大きなポイントになるのが、次に説明する「年齢条件」と「誰を想定して契約しているか」です。
年齢条件の仕組みと、藤原家で起こりやすい落とし穴
自動車保険には、多くの保険会社で「年齢条件」という割引があります。おおよそ、次のような区分が一般的です(細かい区分は会社によって異なります)。
- 全年齢補償
- 21歳以上補償
- 26歳以上補償
- 30歳以上補償
- 35歳以上補償
年齢条件を高く設定するほど保険料は安くなりますが、その年齢に満たない人が運転した場合は補償の対象外になってしまいます。
藤原家は、文太と拓海の2人家族です。ここで、家計を抑えたい文太が「自分の年齢に合わせて、30歳以上補償にしよう」と考えてしまうとどうなるでしょうか。
答えはシンプルで、
拓海が運転する日は、すべて補償の対象外になってしまう、ということです。
実際には毎朝峠を走っているのは拓海ですから、本来であれば次のように設定するのが筋です。
- 運転者の範囲:家族限定(文太+拓海)
- 年齢条件:拓海に合わせて「21歳以上補償」などに設定
現実の家庭でも、「契約者が父だから、父の年齢に合わせておけばいいだろう」という感覚で年齢条件を上げ、実際に多く運転している子どもが補償外になっているケースは少なくありません。
本人限定は、藤原家のような家庭にはとても危険
保険料を下げるために、「本人限定」という条件をつけることもできます。これは文字どおり、契約者本人が運転しているときだけ補償する、というものです。
もし文太が、
「どうせ自分しか運転しないから」と考えて、ハチロクの保険を本人限定にしていたらどうなるでしょうか。
答えはやはりシンプルで、
拓海が運転している日は、一切補償されない、ということになります。
一般の家庭でも「たまに家族が運転するけれど、まあ大丈夫だろう」と本人限定にしているご家庭はありますが、その「たまに」の日に事故が起きると、車の修理費も相手への賠償も、自腹で対応せざるを得なくなるリスクがあります。
藤原家をモデルにすると、
- 誰がどれくらい運転しているのか
- その人の年齢に契約条件を合わせているか
という、自動車保険の基本的な考え方が、とても分かりやすく浮かび上がります。
なお原作では、拓海は13歳の頃から文太の指示で豆腐の配達をしており、現実の法令に照らせば“完全にアウトな無免許運転”に該当します。本稿では作品を尊重しつつ、拓海が運転可能な年齢に達している前提で、保険制度の整理を行っています。
第2章 走り屋バトル中の事故は、保険でどこまで補償されるのか
藤原家の日常をいったん離れて、今度は「走り屋バトルそのもの」に視点を移してみます。
拓海と啓介の勝負、池谷と真子のバトル、中里や涼介との対決……。作品の大きな見せ場ですが、これを現実の日本の保険制度で考えると、結論はなかなかシビアです。
走り屋バトル中の事故は、任意保険が下りない可能性が非常に高いと考えられます。
理由1:共同危険行為として扱われやすい
走り屋同士の勝負は、双方が危険性を理解したうえで、スピードを上げ、ラインを取り合いながら走る行為です。
現実の法律では、こうした行為は「共同危険行為」あるいは「共同不法行為」と解釈されます。
- ストリートレース
- 暴走行為
- ルートやスタート地点を決めた“非公式レース”
このような行為中の事故は、「偶然の事故」というよりは「あえて危険な状況を作り出した結果」と見なされるため、任意保険の対象として扱うのが難しくなります。
理由2:保険約款には「競争行為免責」がある
多くの自動車保険の約款には、次のような内容が盛り込まれています。
「競技・競争・興行またはこれらに類する行為による事故は、補償の対象外とする」
ここで重要なのは、「サーキットか公道か」は本質的な条件ではない、ということです。
- 山道であっても
- 1対1であっても
- “どちらが速いか”を競うための走行であれば
その実態が「競争行為」に当てはまると判断されれば、約款上は免責に該当します。
イニシャルDの数々の名勝負は、作品としては非常に魅力的ですが、保険実務の視点で見ると、まさにこの「競争行為」のど真ん中に位置づけられてしまうわけです。
理由3:過失割合の構造がそもそも走り屋に不利
仮に、形式上は競争行為とまでは扱われなかったとしても、走り屋同士の事故は、一般的な交通事故とは事情が大きく異なります。
- 双方が速度超過
- ブレーキングポイントを遅らせている
- 無理なインへの飛び込み
- そもそも「勝負の一環として」危険な走行をしている
このような状況では、一方だけが被害者で、もう一方が加害者という構図になりにくく、双方に大きな過失があると判断されがちです。
結果として、保険を使えたとしても過失相殺が大きくなり、自己負担が非常に大きくなる可能性があります。
第3章 自賠責はどうなる?──最低限の人身救済という役割
ここまで見るとかなり厳しい印象ですが、一つだけ「救い」に近いものがあります。自賠責保険です。
自賠責保険は、あくまで被害者の人身損害を最低限救済するための制度であり、任意保険とは目的が少し違います。そのため、危険な行為や過失の大きさがあっても、一定の範囲で補償は行われます。
ただし、ここにも限界があります。
- 支払限度額が決まっている
- 車の修理費(車両損害)は一切カバーしない
- ガードレールなどの物損も対象外
- 運転者本人への補償はかなり限定的
峠バトルのような激しい事故では、車両の損害も相手への賠償も多額になりやすく、自賠責だけではとても賄いきれません。
第4章 フィクションと現実の制度、そのギャップをどう活かすか
ここまで見てきたように、『イニシャルD』の世界を現実の保険制度に当てはめると、次のような姿が見えてきます。
- 藤原家のように「誰がどれだけ運転しているか」を意識せずに契約すると、年齢条件や本人限定の設定ミスで、肝心なときに補償されないリスクがある
- 走り屋バトルそのものは、現実の任意保険では「競争行為」「共同危険行為」と見なされ、保険金が下りない可能性が非常に高い
- 自賠責は最低限の人身救済にはなるが、峠バトルのような事故の損害を埋めるには全く足りない
もちろん、作品の魅力は「そんな制度の話を超えたところ」にあります。
ただ、現実の制度と並べてみることで、
- 藤原家の“ギリギリさ”
- 走り屋たちが背負っているリスクの大きさ
といったものが、少し立体的に見えてくるのではないでしょうか。
そしてこの視点は、奈良・橿原で生活している私たち自身の「家族で車をどう使い、どのように保険をかけているか」を見直すきっかけにもなります。
- お子さんが免許を取ったタイミングで年齢条件を変えたか
- たまに運転する家族がいるのに本人限定になっていないか
- 車の使い方と補償の内容が合っているか
こうした点を一度整理しておくだけで、「もしも」のときの家計ダメージを大きく減らすことができます。
自動車保険や家計の相談は、お気軽にどうぞ(奈良・橿原エリア)
かながわFP相談所では、奈良県橿原市を中心に、
- 自動車保険の見直し
- 生命保険・医療保険の整理
- 教育費・老後資金づくりのプランニング
などを、ライフプランの全体像とあわせて一緒に考えています。
特定の商品に誘導するための相談ではなく、「今の契約で足りないところはどこか」「家計とのバランスはどうか」といったところから丁寧にお聞きします。
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