空想おかねシリーズ:【レオン初日から地獄】ゾンビに噛まれたら公務災害?アンブレラ社の企業責任までFPが徹底検証
夜のラクーンシティ。ネオンの明かりが消えかかった交差点を、パトカーのサイレンだけが切り裂いていく。信号は点滅したまま固まり、道路には放置された車と、割れたガラスと、得体の知れない影。
新人警官レオン・S・ケネディが初出勤の日に目にしたのは、治安維持どころか「街そのものが地獄と化した光景」だった。
この世界がもし現実に起こったとしたら──企業の責任、医療保険、死亡保険、公務災害はどう扱われるのか。特にキモになるのが、法と医学が握っている「死亡認定」というスイッチだ。
この記事では、アンブレラ社のやらかしを、日本の法律・保険制度にあてはめたらどうなるのかを、FP(ファイナンシャルプランナー)視点で空想してみる。
※本記事はゲーム『バイオハザード』シリーズの世界観を題材にしたフィクションであり、実在の企業・団体・保険商品とは一切関係ありません。
奈良・橿原あたりで「こういう非常事態のとき、うちの保険って本当に役に立つの?」とモヤっとしている方は、読み終わったあとにでもふらっと相談してもらえたらうれしい。
Part1:アンブレラ社の企業責任とPL法の限界
ラクーンシティの惨劇は、どう見ても「単なる事故」ではない。企業内部の管理ミス、あるいは故意によるウイルス流出であり、現実の法律で言えば「製造物責任(PL法)+企業不祥事」のコンボ技だ。
しかも規模は、工場火災や一部製品のリコールなんて生ぬるいレベルではなく、「都市機能そのものの消失」。法律は一応あるけれど、想定外すぎて追いついていない世界だと思ってもらえればいい。
1.Tウイルスの損害はPL法では抱えきれない
Tウイルスは、アンブレラ社が製造した「製品の欠陥」として扱われる。だから本来なら、市民の死亡・ケガ・生活破壊は、全部アンブレラ社の損害賠償の対象になる。「自然災害ではなく、人災」というところがポイントだ。
ざっくり架空試算をしてみよう。
- ラクーンシティ人口:10万人と仮定
- このうち5万人が死亡または重傷と仮定
- 死亡・重度障害1人あたり:2億円(逸失利益・慰謝料・葬儀費用など込み)
- 物的損害(住宅・店舗・インフラ・清掃費用など):1兆円規模
人に対する損害だけで、2億円×5万人=10兆円。ここに物的損害1兆円を足すと、賠償総額は軽く10兆円を超えてくる。
ここまで来ると、もはや「企業の損害賠償」というより「国家予算級のダメージ」だ。普通の上場企業なら、間違いなく一撃で債務超過クラス。決算に計上して処理できるレベルではない。
2.企業保険でカバーできるのか?という素朴な疑問
「じゃあ保険でなんとかならないの?」という発想が出てくるが、残念ながらここにも現実の限界がある。
- 企業向けのPL保険や賠償責任保険には、必ず支払限度額がある
- 故意・重大な隠蔽・反社会的行為などは免責(支払対象外)になる
アンブレラ社クラスの巨大企業でも、10兆円単位の賠償をそのままカバーするような保険契約は、現実的に存在しない。せいぜい数百億〜数千億円規模が上限だろう。
さらに、Tウイルスの開発・流出に、組織的な隠蔽や故意があったと認定されれば、約款上は「保険金支払なし」という結論になりやすい。つまり、保険でソフトランディングできる余地はほぼない。
結果として、アンブレラ社は「法的には天文学的な賠償責任を負っているのに、実務上は支払い不能」という状態になり、国家レベルでの強制解体・資産凍結・トップの刑事責任追及…といったルートに乗せられていく可能性が高い。
Part2:保険制度の崩壊と「死亡」という壁
現実の世界では、新型コロナのときに、民間保険会社が「自宅療養でも入院相当として扱う」など、かなり柔軟な対応をした。しかしラクーンシティでは、その前提となる社会インフラが丸ごと吹き飛んでいる。
柔軟対応どころか、「そもそも誰が診断書を書くのか?」というところから詰んでいる状態だ。
1.医療保険は“紙の流れ”が止まった時点で終わる
医療保険を支払うには、ざっくり言うと次の流れが必要だ。
- 医療機関で診療を受ける
- 医師が診断書やレセプト(診療報酬明細書)を書く
- 保険会社や協会けんぽ等が、それをもとに支払い・審査を行う
ところがラクーンシティでは、
- 病院が襲撃され、医師・看護師が死亡・逃亡
- 診断書やレセプトを発行する医療機関が機能停止
- 保険会社・行政の窓口も封鎖・壊滅状態
というコンボが決まっている。契約書にはちゃんと「支払う」と書いてあっても、申請も審査もできないので、制度としては凍結されてしまう。
2.死亡保険の最大のボトルネックは「死亡認定ができない」こと
死亡保険を支払うには、医師の死亡診断書か死体検案書が必須だ。ところが、ゾンビ化した市民に近づけば、診断しようとした医師自身が噛まれて感染するリスクがある。なので、そもそも死亡確認の行為自体が成立しない。
医学・法的な死亡の基準と、ゾンビの状態を並べてみるとこうなる。
- 心停止:心臓は止まっているのに、身体は動き続ける
- 呼吸停止:呼吸はないのに、攻撃行動を続ける
- 脳死:脳が損傷してもなお行動できるケースがある
つまりゾンビは、「死亡の定義に当てはまらないのに、生きているとも言えない」グレーゾーンの存在だ。死亡診断書を出した瞬間、「それ、本当に死亡と言えるのか?」というツッコミが発生してしまう。
現行法では、遺体を確認できない場合に失踪宣告という制度がある。
- 普通失踪:7年間行方不明なら死亡とみなす
- 危難失踪:戦争や船舶の沈没などの危難から1年経過で死亡とみなす
ラクーンシティの事案は、危難失踪のパターンに当てはまり得るが、そもそも裁判所も行政も止まっていれば、誰も申立てを出せない。書類を受け取る窓口が存在しないのだ。
結論として、
「死亡保険が出るかどうか」以前に、「死亡という事実を法的に確定できない」。
ここが、バイオ世界における保険制度の最大の破綻ポイントになってくる。
Part3:新人警官レオンは「公務災害」になるのか
では、新配属の警官レオン・S・ケネディがゾンビに噛まれた場合、現実の制度に当てはめれば公務災害になるのかどうか。
1.加害者がゾンビでも「業務起因」は成立する
公務災害認定で重要なのは、次の2つだ。
- 職務遂行性(勤務中かどうか)
- 職務起因性(職務とケガの因果関係)
レオンは、ラクーンシティの治安維持のために出動している。街の混乱や避難誘導、暴徒・未知の存在への対応中に噛まれていると考えれば、職務遂行性・起因性は十分にある。
加害者が人間かゾンビかは、本質的な論点ではない。「勤務中に発生した外傷」であることが重要なので、法技術的には公務災害として認定される余地は高い。
2.ゾンビ化したレオンは、制度上どう扱われるのか
公務災害として認定されれば、
- 治療費の全額補償
- 休業中の給与補償
- 死亡した場合の遺族補償や葬祭料
といった給付が想定される。問題は、その途中でレオンがゾンビ化してしまった場合だ。
ゾンビ化は、医学的には「死亡後の再活動」と解釈される余地があり、法技術的には「死亡状態と同視する」方向で整理される可能性がある。その場合、レオンに家族がいれば、遺族補償の対象になり得る。
ただしここでも、ラクーンシティでは行政機能が崩壊しているため、
- 上司の報告書が作られない
- 審査会を開く組織が存在しない
- 共済や基金が認定手続きを進められない
という「三重苦」が待っている。制度上は救済されるはずなのに、現場では誰もそのボタンを押せない。
Part4:制度はあるのに、誰も起動できない世界
ここまでを整理すると、バイオハザードの世界は次のような構造になっている。
- アンブレラ社:PL法上は天文学的な賠償責任を負うが、支払い不能で実質破綻コース
- 市民の医療・死亡保険:死亡認定や請求手続きができず、制度が空洞化
- 公務員(レオンたち):公務災害の要件は満たすが、認定手続きが動かず補償が届かない
法律も保険も、基本的には「平時に回ること」を前提に設計されている。ラクーンシティのように、行政とインフラが都市ごと吹き飛んだとき、制度は紙の上にだけ残り、誰の命も生活も守れなくなる。
アンブレラ社が怖いのは、ゾンビを撒き散らしたことだけではない。制度そのものを機能不全に追い込んだ結果、市民が頼るはずだったセーフティネットを「ブラックホール化」させてしまった点にある。
現実の世界でも、そこまで極端ではないにせよ、
- 書類が出せなければ保険は動かない
- 認定する窓口が止まれば、制度は機能しない
という構造自体は同じだ。だからこそ、平和なうちに「どの制度に、どこまで頼れるのか」「制度が止まったとき、どこから先は自分で備えるのか」を考えておく必要がある。
奈良・橿原で、保険や公的制度の“守備範囲”がどこまでか気になったら、ゲームの話でもしながら一緒に整理していきましょう。
保険と公的制度の“穴”を一度整理してみませんか?
メールでもLINEでも、初回相談は無料です。オンライン相談もOK。
※本記事は空想上のケーススタディであり、特定の保険商品の加入・解約を推奨するものではありません。実際の契約内容や給付可否は、各保険会社の約款・審査により異なります。
▶ 空想おかねシリーズ(内部リンク)
- 空想おかねシリーズ:聖闘士星矢編|アテナに戸籍はあるのか?グラード財団と城戸光政の相続構造をFPが解剖
- 空想おかねシリーズ:崖の上のポニョ編・完全版──母リサの勇気と津波保険の現実
- 空想おかねシリーズ:DIOがジョナサンと融合したが相続権はあるのか?!
- 空想おかねシリーズ:鬼殺隊員がケガで休んだら、傷病手当金はもらえるのか?
- 空想おかねシリーズ:ドラゴンクエストV編 石化した国王と、8年後の相続
- 空想おかねシリーズ:ドラゴンボール編──保険と再生の物語
- 空想おかねシリーズ:ドラゴンボール4戦士編──まとめ
- 空想おかねシリーズ:キャプテン翼編──サッカー選手の年金と保険
- 空想おかねシリーズ:イニシャルD編──無免許豆腐配達と自動車保険のリアル
- 空想おかねシリーズ:葬送のフリーレン編──千年生きる魔法使いの年金問題
- 空想おかねシリーズ:るろうに剣心編──左之助のケンカと保険のキワどい関係
- 空想おかねシリーズ:バイオハザード編──アンブレラ社と公務災害・PL法をFPがガチ検証
かながわFP相談所について
奈良県橿原市を拠点に、共働き・子育て世代の「これからのお金」を一緒に考える独立系FP(ファイナンシャルプランナー)です。保険の見直しだけでなく、公的制度・住宅・教育費・老後資金までトータルで整理するライフプラン相談を行っています。
- 特定の保険会社に偏らない商品提案
- オンライン相談(Zoom等)対応可
- 初回相談は原則無料
保険・資産運用・ライフプランのご相談はこちらから
※保険の勧誘が目的ではなく、「まず現状を整理したい」という方からのご相談も歓迎しています。無理な営業は行いません。