【2026年】年収の壁178万円でパート・扶養はどう変わる?共働き世帯の「働き方Q&A」|奈良・橿原のFP解説
こんにちは。奈良県橿原市の独立系FP、かながわFP相談所の金川です。
2025年12月18日に報じられた、いわゆる「年収の壁」を178万円へ引き上げる方向での合意。
速報記事では制度全体の動きを整理しましたが、実際のご相談では、
- 「パートで働く妻(夫)の年収はどう考えればいい?」
- 「扶養から外れると損って本当?」
- 「共働きのうちは、結局いくらまで働いていいの?」
といった、“パート・扶養まわり”の質問が一番多くなりそうです。
✔ 「うちの場合どうなる?」はLINEで気軽に聞いていただいて大丈夫です(奈良・橿原の方歓迎)
そこで今回は、30代の子育て世代をイメージして、
- パート・アルバイト収入
- 配偶者控除・扶養の考え方
- 社会保険(106万円・130万円の壁)との違い
などを、Q&A形式で整理していきます。
まず全体像を押さえたい方は、こちらの速報・まとめ記事もあわせてどうぞ。
- 【速報】年収の壁178万円へ。2026年からどう変わる?(制度の全体像)
- 【速報】日銀が政策金利を0.75%へ利上げ。変動金利と住宅ローンへの影響
- 【まとめ】178万円の壁+利上げで、30代子育て世帯の家計はどう変わる?
Q1:103万円から178万円に変わると、パートの手取りはどうなりますか?
今回の「178万円」は、ざっくり言うと所得税がかからないラインを引き上げる方向の話です。
イメージとしては、
- これまでは「103万円」付近から所得税がかかり始めていた
- それが「178万円」付近からかかり始める方向で議論されている
ということなので、
- 同じ時間・同じ時給で働いても、手取りが増えやすくなる
- 「103万円を超えないようにシフトを調整する」必要性は小さくなる
といったプラスの影響が期待できます。
ただし、ここで注意したいのは、
・これは「税金(所得税)」の話であって
・住民税や社会保険(106万円・130万円の壁)とは別枠
だということです。
Q2:「扶養から外れる」とは何が変わることですか?
日々のご相談でも、「扶養から外れると損ですよね?」という質問をよくいただきます。
実は「扶養」と一言でいっても、
- 税金の扶養(配偶者控除・扶養控除など)
- 社会保険の扶養(健康保険・年金)
の2種類があります。
今回の「178万円の壁」は、前者の「税金のほうのライン」に関する議論であって、後者の社会保険の扶養(健康保険・年金)の条件がそのまま変わると決まったわけではありません。
そのため、
- 税金上はプラス(所得税がかかりにくくなる)
- 一方で、社会保険の加入条件を超えると保険料負担が増える
といった「プラスとマイナスが混ざる」ケースも出てきます。
「扶養から外れる=必ず損」とは限らず、
- 手取り収入
- 将来の年金受取額
- 世帯全体の税金・社会保険料
をトータルで比べる必要がある、というのがFPとしての結論です。
Q3:社会保険の「106万円・130万円の壁」との関係は?
今回のニュースを見て、
「178万円まで稼いでも社会保険はそのまま?」
と誤解されている方もいらっしゃいますが、現時点では、
- 106万円・130万円などの社会保険の壁は別のルール
- まだこのラインがどう変わるのかは決まっていない
という段階です。
ざっくり言うと、
- 178万円の壁 … 主に所得税のライン
- 106万円・130万円の壁 … 健康保険・年金の加入や扶養のライン
と役割が違います。
ですので、今の時点で「178万円まで何も気にせず稼いでOK」という話ではなく、
- 給与明細にある「社会保険料」の負担
- 夫婦どちらの健康保険・年金に入るか
も含めて考える必要があります。
このあたりは、個別の条件(勤務先・就業時間・事業所の規模など)によっても変わるため、詳細はまた別記事で整理する予定です。
Q4:178万円ギリギリまで働いたほうが得ですか?
FPとしてよくある質問ですが、答えはいつも同じで、
「数字だけ見ると得に見えるが、正解はご家庭ごとに違う」
です。
例えば、
- 保育園・学童の利用時間や費用
- 通勤時間・交通費
- 家事・育児の負担の分担
- ご夫婦それぞれの体力やメンタルの余裕
といった要素も、長い目で見ればすべて「家計」に跳ね返ってきます。
数字だけを見て「ここまで働くのが一番お得」と決めてしまうより、
- 家族として無理なく続けられる働き方
- その中で手取りが最大化しやすいゾーン
を一緒に探していくほうが、現実的だと感じています。
Q5:共働き子育て世帯は、いま何をしておけばいい?
奈良・橿原で30代のご夫婦からご相談を受けることが多い立場から、「今のうちにここだけは整理しておきたいポイント」を3つ挙げておきます。
① いま家族全体でどの「壁」に近いのか確認する
- ご夫婦それぞれの年間収入(見込み)
- パート・アルバイトの方の勤務時間と時給
- いま意識している「壁」(103・106・130万円など)
を紙に書き出してみるだけでも、見える景色が変わります。
② 「今後どう働きたいか」をお金抜きで一度話してみる
そのうえで、
- 本当はどのくらい働きたいのか
- 子どもの年齢・ライフイベントとのバランス
- ご夫婦それぞれのキャリアの希望
などを、お金の話抜きで一度すり合わせてみるのがおすすめです。
そのあとで、「じゃあ数字的にはどう設計すればいいか?」をライフプランで調整していくイメージです。
③ 「増えた手取り」の使い道をあらかじめ決めておく
もし実際に手取りが増える方向になるなら、
- 教育費の積立(学資・ジュニアNISAの代わりの新NISA活用など)
- 住宅ローンの繰り上げ返済・頭金準備
- 老後資金づくり(NISAつみたて投資枠・iDeCoなど)
といった“未来のお金”に振り分ける箱を決めておくと、「なんとなく生活費に消えてしまう」ことを防ぎやすくなります。
金利・税制を含めた全体像は、こちらの記事でまとめています。
ニュースに振り回されないために──「うちの場合」を一度整理してみる
税制改正や利上げのニュースはどうしても、
- 「得か損か」
- 「今すぐ何かしないとまずいのでは?」
という気持ちをあおりがちです。
ですが本当に大事なのは、
- 「うちの家計」にとって、何が一番の優先事項なのか
- そのために、働き方・貯蓄・投資・保険をどう組み合わせるか
を落ち着いて整理することです。
かながわFP相談所では、
- 年収の壁や税制改正を踏まえた働き方のシミュレーション
- 住宅ローン・新NISA・iDeCo・保険を含めたライフプラン作成
などを、オンライン相談も含めて承っています。
※本記事は2025年12月時点の報道をもとにした一般的な解説です。最終的な制度内容・金額・対象範囲は、今後公表される税制改正大綱や関連法令によって変更される可能性があります。実際の判断にあたっては、最新情報を確認のうえ、必要に応じて税理士・社会保険労務士等の専門家にもご相談ください。
作成日:2025-12-19(JST)