がん保険の盲点|乳がん治療の「ホルモン療法」だけで2回目の一時金は出る?

こんにちは。奈良・橿原のFP、かながわFP相談所の金川です。

先日、知人からこんな相談を受けました。

「乳がんと診断された。保険は入っているけど、これから長く薬を飲むって言われていて…その間もお金って出るのかな?」

私はFPとして、まず彼女の保険の約款(契約のルール)をすべて読み込みました。

そこで分かったのは――

同じ“がん保険”でも、ホルモン療法だけで2回目以降の一時金が出るかどうかに、見落とされがちな大きな差があるという事実でした。

この記事で扱う「ホルモン療法と給付金」の話は、
そもそも「がん保険は必要なのか?」という問いの中の、かなり実務的で重要な論点の一つです。

がん保険全体の考え方を先に整理したい方は、こちらの記事も参考になります。



がん保険は必要か?FPが冷静に解説【損得だけじゃない本当の理由】


乳がん治療は「手術で終わり」ではない

乳がんの治療は、手術が終われば完了ではありません。再発を防ぐために、5年〜10年という長い期間、ホルモン療法(内分泌療法)という薬による治療を続けるケースが多くあります。

毎日飲み薬を服用し、定期的に通院する。こうした治療スタイルが何年も続くことも少なくありません。

今の時代、がんは生存率が9割を超え、助かる病気になりました。ですがそれは同時に、長く病気とお金と付き合っていく時代の幕開けでもあります。



がん生存率9割時代の盲点|最新データで見えた生き延びた後に必要なお金の話

※具体的な治療方針は個々の状況により医師が判断します。必ず主治医の指示に従ってください。


【用語解説】抗がん剤の定義に潜む境界線

保険の説明書によく出てくる抗がん剤治療という言葉ですが、実はその範囲は保険会社によって異なります。ここが運命の分かれ目です。

  • 細胞毒性抗がん剤(L01):一般的にイメージされる点滴治療など。多くの保険で対象となります。
  • 内分泌療法薬(L02):乳がんなどで、再発を防ぐために長く飲み続けるホルモン剤。一部の保険では、この薬だけでは所定の抗がん剤治療とみなされず、2回目の一時金が支払われないケースがあります。

なお、「最新医療=先進医療=保険が効かない」と誤解されがちですが、
実際にはダヴィンチ手術のようにすでに保険適用されている高度医療も増えています。

この点については、以下の記事で詳しく整理しています。



高須克弥院長のダヴィンチ手術と「100円の特約」の真実。がんFPが語る最新医療のリアル

もし、そもそもがん保険に入っているのに給付金が出ない一般的なケース(上皮内がんや免責期間など)について知りたい方は、こちらの記事も併せてご確認ください。



がん保険なのに給付金が出ない理由|落とし穴をFPが徹底解説


なぜ、2回目の一時金に差が出るのか

がん保険の多くは、1年など一定期間が経過したあとに、再度一時金を受け取れる設計になっています。

しかし、その条件に「所定の抗がん剤治療を受けたとき」と書かれている場合、設計によって以下の違いが生まれます。

  • ホルモン剤による治療も対象に含むタイプ
  • 点滴などの特定の薬のみを対象とするタイプ

知人の保険は、残念ながらホルモン療法のみでは対象外となるタイプでした。つまり、長期間にわたって薬を飲み続けていても、2回目以降の一時金は受け取れない可能性があったのです。


ご自身の保険で確認すべき3つのポイント

私の保険はどうかな?と不安になった方は、次の点を確認してみてください。

  • 飲み薬のホルモン療法だけでも抗がん剤治療として扱われますか?
  • 通院だけで一時金の対象になりますか?
  • 2回目を受け取るために必要な間隔は1年ですか?2年ですか?

パンフレットに載っている100万円という大きな数字だけでは、この違いは見えてきません。本当に重要なのは、長く続く治療に耐えられる盾になっているかどうかです。


まとめ:診断時より、その後を守れるか

このように、がん保険の価値は
「診断時にいくら出るか」ではなく、
治療が長期化したときに、意思決定を支え続けられるかで決まります。

この考え方の全体像については、以下の記事で体系的に解説しています。



がん保険は「治療費」の保険ではない|生存率9割時代の意思決定を守る技術

約款は難しく見えますが、読み解けば答えは必ず書いてあります。不安なままにせず、一度プロの目で確認しておくことをおすすめします。


※本記事はがん保険の一般的な契約構造を解説したものです。実際の支払可否はご自身の契約内容や医師の診断に基づきます。治療方針については必ず主治医にご相談ください。