高須克弥院長のダヴィンチ手術と「100円の特約」の真実。がんFPが語る最新医療のリアル

こんにちは。奈良・橿原のFP、かながわFP相談所の金川です。

高須クリニックの高須克弥院長が、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による広範囲な摘出手術を受け、無事に生還されたというニュースを目にしました。

膀胱・前立腺・腎臓・尿管に及ぶ大手術。
それを乗り越え、SNSで「無敵のかっちゃん」と冗談めかして発信する姿に、勇気をもらった方も多いのではないでしょうか。

実は私自身、数年前に膀胱がんの疑いで検査と向き合った経験があります。
そのとき初めて、「尿路系のがん」「手術」「その後の生活」が、一気に現実のものとして迫ってきました。

だからこそ、高須クリニックの高須克弥院長が受けたダヴィンチ手術のニュースは、決して他人事ではなかったのです。

この記事では、「がん保険は必要か?」という問いに対し、
“最新医療と保険の関係”という具体的な視点から整理していきます。


ダヴィンチ手術は「先進医療」ではありません

ここで、多くの方が勘違いしている重要なポイントがあります。

「ダヴィンチ手術=先進医療=高額な特約が必要」
これは、現在では正確ではありません。

膀胱がん・前立腺がん・腎がんなどに対するダヴィンチ手術の多くは、すでに公的医療保険が適用される標準治療です。

つまり、特別な先進医療特約がなくても、高額療養費制度を使えば、自己負担額には上限があります。

「最新=保険が効かない」という思い込みは、ここで一度リセットする必要があります。


それでも「先進医療特約」が存在する理由

では、医療保険についている先進医療特約(毎月100円前後・上限2000万円)は不要なのでしょうか。

答えは、NOです。

私はFPとして、これまで数百人の医療・がん相談を受けてきました。
その中で、実際に先進医療特約を使った方は――

たった一人でした。

前立腺がんで重粒子線治療を選択された方です。

保険会社が、月100円程度で2000万円もの保障を付けられる理由。
それは、ほとんどの人が一生使わないと分かっているからです。

しかし、もしあなたがその「一人」になったとき、
その特約を正しい順番で使えるかどうかで、結果は大きく変わります。


「後出し」が効かない、放射線治療の残酷な現実

特に注意が必要なのが、放射線治療です。

重粒子線治療や陽子線治療といった先進医療は、
一度、通常の放射線治療をフルで受けてしまうと、後から選べないケースがほとんどです。

身体の耐容量の問題で、放射線の「上書き」はできません。

「とりあえず標準治療を始めて、あとで考えよう」
この判断が、2000万円の選択肢を自ら消してしまうこともあるのです。

がん告知直後は、誰でも動揺します。
その中で、自分が持っている保険のカードを一度テーブルに並べられるか

それが、治療の選択肢とQOLを守る分かれ道になります。


先進医療特約は「治療法を選ぶ権利」を残すための保険

ここまで読んでいただいて分かる通り、
先進医療特約は「医療費を補填するため」の保険ではありません。

本当の役割は、告知直後の混乱の中でも、治療の選択肢を消さずに済む状態を保つことです。

ダヴィンチ手術のように、
「最新=先進医療ではない」ケースも増えました。

一方で、重粒子線治療のように、
順番を一度間違えると、後からいくらお金があっても選べなくなる治療も確実に存在します。

月100円の特約が守っているのは、
医療費そのものではなく、“あとで後悔しないための選択権”なのです。


まとめ:100円の特約は「知っている人だけの武器」になる

高須クリニックの高須克弥院長のように、
大きな病気と向き合いながらも前を向ける人を支えるのは、気力だけではありません。

「自分には、使える備えがある」
その確信が、冷静な意思決定を守ります。

月100円の特約は、
知っている人にとっては最強の盾になり、
知らない人にとっては、ただの飾りになります。

がん保険が本当に必要かどうか――
その問いの答えは、「いくら出るか」ではなく、
「いざという時に、どこまで冷静でいられるか」にあります。


※本記事は医療・保険制度の一般的な情報提供を目的としたものです。治療方針は必ず主治医とご相談ください。保険の支払可否は契約内容・診断内容により異なります。