親から頭金援助をもらったら要注意|住宅ローン控除と贈与税で失敗しないための判断フロー【FP解説】
こんにちは。奈良・橿原のFP、かながわFP相談所の金川です。
確定申告のシーズンになると、住宅ローン控除についてのご相談が一気に増えます。
中でも多いのが、「親から頭金の援助をもらったけど、名義や申告はこれで合ってますか?」というケースです。
住宅ローン控除は、本来なら「税金が戻ってくるありがたい制度」。
ところが、親からの援助が絡むと、思わぬ贈与税の指摘を受けることがあります。
原因の多くは、制度を知らなかったことよりも、
「自分がどのケースに当てはまるのか整理できていない」ことです。
この記事では、まずケースを整理し、そのうえで特にトラブルが多いパターンを具体例で解説します。
まず確認|あなたはどのケース?
親からの援助があった場合、最初に整理すべきポイントは次の4つです。
- 親からお金をもらった(贈与)
- そのお金を住宅購入に使ったか
- 住宅取得資金の非課税特例を使ったか
- 家の名義は単独か、共有か
これを踏まえると、大きく次の3つに分かれます。
ケースA|住宅取得資金の非課税特例を使った
- 親 → 子へ贈与
- 住宅購入資金として使用
- 贈与税はかかっていない
ケースB|非課税特例を使わず、贈与税を払った
- 親 → 子へ贈与
- 贈与税は子が申告・納税済
- お金は子の自由財産
ケースC|夫婦それぞれが資金を出して購入
- 親の援助あり・なしは問わない
- 夫婦間の出資割合が論点
実務上、最もトラブルが多いのがケースAです。
ケースAで起きやすい「名義の落とし穴」
では、実際によくある相談例を見てみましょう。
- 妻の親から、妻へ1,000万円の援助
- 住宅取得資金の非課税特例を利用
- その1,000万円を頭金として住宅を購入
- 住宅ローンは夫が借り、家の名義は夫の単独名義
一見、よくある話に見えます。
しかし税務署の視点で見ると、次のように分解されます。
- 親 → 妻:住宅取得資金の贈与(非課税)
- 妻 → 夫:1,000万円の贈与
つまり、妻が自分の名義(持分)を持たずに家を購入した瞬間、
「妻の財産を夫に無償で渡した」と判断される可能性が高いのです。
夫婦であっても、出資と名義がズレれば贈与になります。
なぜ「出したお金」と「名義」を揃える必要があるのか
税法は、気持ちや家族関係ではなくお金の実態を見ます。
- 誰がいくら出したのか
- その結果、誰がどれだけの財産を持ったのか
この2つが一致していなければ、
「財産の移転=贈与」と判断されるのが原則です。
対策はシンプルで、出資割合に応じた共有名義にすること。
例えば、
- 夫のローン負担:5,000万円
- 妻の親からの援助:1,000万円
であれば、
- 夫:5/6
- 妻:1/6
という形で登記すれば、
それぞれが「自分のお金で、自分の持分を取得した」ことになり、贈与税の問題は生じません。
ケースBの場合はどう考える?
住宅取得資金の非課税特例を使わず、贈与税をきちんと支払った場合、
親からもらったお金は完全に子個人の財産です。
そのお金を住宅購入に使うかどうかは原則自由。
ただし、その資金で家を買うのに名義を持たなければ、
今度は「子 → 配偶者」への贈与問題が生じる点は同じです。
「非課税特例を使っていないから安心」とは限らない、
ここも見落とされがちなポイントです。
TIPs|ここで混同されやすい制度
- おしどり贈与:婚姻20年以上の配偶者への贈与。住宅取得時には原則使えません
- 住宅ローン控除と3,000万円特別控除:同一年での併用は不可(売却が絡む場合は要注意)
別制度を混ぜて考えると、判断を誤りやすくなります。
- 親からの援助を住宅購入に使った
- 住宅取得資金の非課税特例を使った(または使ったか分からない)
- 家の名義が夫婦どちらかの単独名義になっている
- 「夫婦だから大丈夫」と思って名義を深く考えなかった
この場合、贈与税の指摘リスクが残っている可能性があります。
まとめ|最初にやるべきは「ケースの切り分け」
住宅ローン控除や贈与税の話は、
制度そのものより前提の整理が何より重要です。
- 誰から誰へ贈与があったのか
- 非課税特例を使ったのか
- お金を出した人と名義は一致しているか
これが整理できれば、不要な税金を払うリスクは大きく減らせます。
「うちはどのケースだろう?」
「この名義で本当に大丈夫?」
そう感じた時点で、一度整理しておくことをおすすめします。
確定申告は期限があります。
気づいた時に、早めに動くことが一番の節税です。
2026-02-04 JST
かながわFP相談所 金川 崇
※本記事は、住宅ローン控除および贈与税に関する一般的な制度解説を目的としたものであり、特定の税務判断を行うものではありません。
実際の税務上の取扱いは、贈与の経緯・資金の流れ・登記内容・契約時期等により異なります。
最終的な申告・判断については、税務署または税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。