がん生存率9割時代の盲点|最新データで見えた「生き延びた後」に必要なお金の話

がん生存率9割時代の盲点。厚労省の最新データから考える生きるための経済戦略

2026年1月14日、厚生労働省から非常に重要なデータが公表されました。
がんと診断された人が5年後に生存している割合、いわゆる「5年生存率」について、全国がん登録のデータをもとに、国が初めて部位別の詳細な数値を明らかにしたのです。

前立腺がんは92.1%、乳がんは88.0%。
数字だけを見れば、「がんはもう治る病気になった」と感じた方も多いかもしれません。

しかし、ファイナンシャルプランナーとしての私の視点は少し違います。

この数字が示しているのは、
「がんと診断されたあとも、人生は長く続いていく」
という現実です。


「助かる」時代に変わったからこそ、問題が変わった

かつてのがん保険は、

  • 亡くなったときに家族へお金を残す
  • 治療期間が短い前提で生活を支える

という役割が中心でした。

そのため、昔のがん保険には「がん死亡時に100万円」といった特約が付いているものが多く見られます。

これは一見すると不思議に思えるかもしれませんが、保険の設計としては非常に合理的でした。

というのも、
「がんによる死亡」に限定することで、一般的な死亡保険よりも危険保険料を抑えやすくなるからです。

通常の死亡保険は、事故・病気・自殺など幅広い死亡リスクをカバーします。
一方で、がん死亡に限定すれば対象リスクは大きく絞られます。

結果として、
通常の死亡保険よりも安い保険料で、まとまった保障額を用意できる
という設計が可能だったのです。

当時は「がん=死に直結する病気」という前提が強く、
その合理性に違和感を持つ人はほとんどいませんでした。

しかし、生存率が8割・9割という時代では、話が変わります。

治療後も、
・定期的な通院や検査
・再発への不安
・働き方や収入への影響
といった「長期戦」が続きます。

つまり今の時代、
がんで亡くなるリスクよりも、がんと共に生きながらお金が尽きるリスク
のほうが、現実的になってきているのです。


実体験:病室の天井を見ながら考えたこと

私自身、2025年の年末に膀胱腫瘍の手術を受けました。
結果は良性でしたが、再発リスクが高い部位であることに変わりはありません。

病室のベッドで天井を見上げながら考えていたのは、
「もし次に異変が見つかったら、自分は冷静な判断ができるだろうか?」
ということでした。

検査結果を待つ時間、人は驚くほど判断力を失います。

そのとき、
「お金の心配だけはしなくていい状態」
がどれほど心の支えになるかを、当事者になって初めて理解しました。


生存率が高いがんほど、設計が重要になる

前立腺がんや乳がんのように、生存率が高いがんほど、
「一時金をもらって終わり」では足りません。

治療後の人生は、10年、20年と続きます。

その間、
・通院を続けながら働く
・収入が減る可能性と向き合う
・再発のたびに治療を選択する
という現実があります。

生存率の数字に安心するだけではなく、
その先の人生をどう守るか
まで考えることが、今の時代の「がんとお金」の向き合い方です。


あわせて読みたい|がんと「お金の現実」を整理する解説記事

今回の生存率データを見て、
「では、自分の備えは本当に今の時代に合っているのか?」
と感じた方は、以下の記事も参考にしてください。


まとめ:生存率の時代から「人生設計」の時代へ

がんの生存率が高くなったことは、間違いなく良いニュースです。

ただしそれは、
「考えなくていい」ではなく、
「考える内容が変わった」ことを意味します。

お金の知識は、弱っているときの判断力を守るための盾です。

もし今の備えに少しでも不安を感じたら、
それは「考えるタイミングが来た」というサインかもしれません。


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