「あの人が言うなら」が一番怖い。大手生保(プルデンシャル)の31億円詐取報道に思うこと
「あの人が言うなら…」が一番怖い。大手生保の31億円詐取報道に思うこと
こんにちは。奈良・橿原のFP、金川です。
今日、生命保険業界に大きな衝撃が走りました。
外資系大手生保(プルデンシャル生命)で、社員らが関与し、総額30億円を超える不適切な金銭受領が確認されたという報道です。
社長が引責辞任するという事態の重さに、驚かれた方も多いと思います。
一方で、FPとして長くこの業界を見てきた立場からすると、「またか…」というやるせなさを感じてしまうのも正直なところでした。
誤解のないように申し上げますが、今回の記事は特定の会社を批判するものではありません。
なぜなら、こうした「営業担当者による金銭の詐取・着服」は、過去にも国内大手生保などで何度も繰り返されてきた、業界全体の根深い問題だからです。
今日は、なぜ「信頼できる担当者」がこうした事件を起こしてしまうのか、そして私たち消費者はどこで「NO」と言わなければならないのか。自衛のためのルールをお伝えします。
「社員しか買えない株」という幻
報道によると、今回の手口の一つに「社員しか買えない株がある」「絶対利益が出る」といった勧誘があったそうです。
はっきり申し上げます。
金融の世界に、一般に出回らない「社員限定の秘密の儲け話」など存在しません。
もし本当にそんなものがあれば、それはインサイダー取引などの犯罪である可能性が高いですし、そもそも赤の他人に勧めるはずがありません。
しかし、被害に遭われた方の多くは、金融リテラシーが低いわけではありません。
むしろ、担当者を心から信頼していたからこそ、「あの優秀な〇〇さんが言うなら、特別な話があるのかもしれない」と信じてしまったのだと思います。
ここに、この問題の恐ろしさがあります。
詐欺師が騙すのではありません。「信頼していたパートナー」が、ノルマや借金などのプレッシャーで一線を越えたとき、最も無防備な顧客を狙うことになるのです。
それ詐欺かも!FPが警告する身近な金融トラブル最新手口と対策【奈良・橿原】
「個人口座」にお金を送る=アウト
どんなに担当者と仲が良くても、絶対に守らなければならない鉄則があります。
それは、「保険料や投資資金を、担当者個人の口座には絶対に入れない」ということです。
保険会社において、顧客から現金を預かったり、個人の口座に振り込ませたりすることは、コンプライアンスで厳しく禁じられています。
正規の保険契約であれば、振込先は必ず「保険会社名義」の口座であり、担当者個人の名前ではありません。
「今回は特別だから」「手続きを急ぐから一旦立て替えておく」
どんなに美辞麗句を並べられても、「個人の財布」にお金を入れるよう言われた時点で、その取引は100%不正です。
スーパーのレジで、店員さんから「レジを通さず、私のPayPayに送ってください」と言われたら、誰でも「おかしい」と思いますよね。
保険でも同じ感覚を持ってください。
ブランドではなく「仕組み」を信じる
今回の件で名前が挙がった会社には、真面目で優秀、顧客思いのプランナーも山ほどいます。
私自身、尊敬できる友人もいます。
だからこそ、「あの会社はダメだ」と一括りにするのは危険ですし、本質を見誤ります。
問題なのは、会社名やブランドではなく、「担当者への過度な依存」です。
担当者が優秀であればあるほど、顧客は「会社と契約している」という意識が薄れ、「〇〇さんと契約している」という感覚になりがちです。
しかし、契約書を交わす相手はあくまで「会社」です。
🚨 今すぐ確認してほしいチェックリスト
- 担当者に「個人的にお金を貸して」と言われたことはないか?
- 「会社には内緒で」と言われた投資話はないか?
- 保険料を「担当者の個人口座」に振り込んだことはないか?
- 手書きの借用書や、会社印のない領収書を渡されていないか?
もし一つでも当てはまることがあれば、担当者に確認するのではなく、すぐに保険会社の「お客様センター(コンプライアンス窓口)」に連絡してください。
「お世話になった人だから」という情けは、ここでは命取りになります。
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まとめ
今回の事件は、氷山の一角かもしれません。
過去にも他社で同様の事件があったように、人が人を介して商品を売る以上、こうしたリスクをゼロにすることは難しいのが現実です。
だからこそ、私たち自身が「人」ではなく「契約」と「ルール」を信じる強さを持つ必要があります。
「うまい話には裏がある」
「お金のやり取りは会社を通す」
この当たり前のルールを、今一度、家計の防衛策として刻んでおきましょう。
もし、ご自身の加入状況や、提案されている内容に少しでも不安を感じたら、利害関係のない第三者のFPにご相談ください。
中立的な視点で、その契約が正規のものか、リスクがないかを確認させていただきます。