ドラクエXII(12)に刻まれた遺産|鳥山明・すぎやまこういちの著作権は誰に受け継がれるのか

5月27日はドラクエの日だ。

2026年の今年は40周年。そしてその節目の日に、ドラクエXII(12)に関する発表があった。

鳥山明のキャラクターデザイン、すぎやまこういちの音楽。お二人が生前に手がけた仕事が、最後のナンバリング作品に刻まれる。

すぎやまこういちは2021年9月に逝去、享年90歳。鳥山明は2024年3月に逝去、享年68歳。

ドラクエを子供の頃からプレイしてきた人間として、素直にこう思う。

「ありがとう」と。

そしてFPとして、こんな問いが頭に浮かんだ。

お二人の「作品」は、今誰のものなのか。

著作権は「相続できる財産」だ

クリエイターが亡くなったとき、その作品はどうなるのか。

著作権には2種類ある。著作財産権と著作者人格権だ。

著作財産権は、作品から生まれるお金の権利だ。複製、販売、配信、演奏——これらから生まれる収益を受け取る権利だ。これは相続できる。法定相続人が引き継ぐか、遺言によって指定された人物が受け取ることになる。

著作者人格権は、作品と作者の「人格的なつながり」を守る権利だ。「自分の作品として公表する権利」「改変されない権利」などがこれにあたる。著作者人格権は一身専属権のため相続はできない。ただし、著作者の死後も、名誉や意図を著しく害する利用については一定の保護が残る。

整理すると、こうなる。お二人の楽曲・イラストから生まれる収益は、相続人や権利管理者へ引き継がれていると考えられる。でも「この作品は私のものだ」と主張する権利は、もうこの世に存在しない。

著作権の保護期間は「死後70年」

著作財産権には期限がある。

日本では、著作者の死後70年間保護される(2018年の著作権法改正で50年から70年に延長された)。

すぎやまこういちが逝去したのが2021年. 保護期間が終わるのは2091年だ。

鳥山明が逝去したのが2024年。保護期間が終わるのは2094年だ。

つまり今世紀中は、ドラクエの音楽もキャラクターも、遺族または権利を管理する企業が保有する財産だ。ゲームをプレイするたびに流れる序曲も、スライムのあのフォルムも、誰かの「遺産」として管理されているということになる。

スクウェア・エニックスと個人の権利はどう分かれているのか

ここが少し複雑な部分だ。

ゲームの著作権は一般的に開発会社・パブリッシャーが保有する. ドラクエシリーズ全体の権利管理は、スクウェア・エニックスが担っている。

一方、すぎやまこういちの楽曲やアレンジについては、作曲家個人が著作権を持っていた部分がある。コンサートでドラクエ音楽が演奏されるとき、使用料の支払い先が問題になったケースもかつてあったと言われている(詳細な権利処理の内訳は公開情報からは確認できない)。

鳥山明のキャラクターデザインについても、契約によって権利の所在が異なる可能性がある。実務的には「ゲーム会社と個人クリエイターの契約内容次第」というのが正直なところで、外部からは詳細がわからない部分が多い。

一般の人が「クリエイターの相続」から学べること

ここから少し、身近な話に引き寄せたい。

「自分はクリエイターじゃないから関係ない」と思うかもしれない。でも著作権は、思った以上に身近なところにある。

ブログ記事、SNSの投稿、写真、手書きのイラスト、手紙——これらすべてに著作権が発生する。

もし突然亡くなったとき、そのデジタル資産はどうなるのか。SNSのアカウント、ブログのサーバー、noteの収益、電子書籍の印税。これらは誰かに引き継がれるのか、消えるのか、整理されないまま放置されるのか。

「デジタル遺産」の問題は、クリエイターだけの話ではない。エンディングノートや遺言書を書くとき、デジタル資産の整理についても一緒に考えておくことをお勧めする。

技術は継承できないが、権利は継承できる

鳥山明の絵のタッチは、誰も再現できない。すぎやまこういちの音楽の魂は、楽譜には乗り切らない。

技術も感性も、人と一緒に消えていく。

でも権利は残る。そしてその権利から生まれる収益は、遺族の生活を支える財産になる。

2024年、堀井雄二はXにこう書いた。「亡くなったお二人の遺作にふさわしいものをと思っています」と。

ドラクエXII(12)が発売されたとき、あの序曲が流れるはずだ。スライムが登場するはずだ。

それはもう「遺作」ではなく、「記念碑」だと思う。

そしてFPとして思う。自分が積み上げてきたものを、どう遺すか。それを考える機会を、ドラクエが与えてくれた気がする。

気になることがあれば、LINEからお気軽にどうぞ。

この記事を書いたFPに直接相談できます

かながわFP相談所(奈良県橿原市)は保険・NISA・住宅ローン・ライフプランを中立な立場でサポートする独立系FPです。橿原市・奈良市・大和高田市・桜井市など奈良県全域+全国オンライン対応。

▶ FP相談について詳しく ▶ LINEで相談する

かながわFP相談所

この記事を書いた人

かながわFP相談所

AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員

奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。

奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。

≫ 52歳、FP金川が病室で見た真実と、詳しい経歴はこちら