年金の繰り上げ・繰り下げ完全ガイド【2026年最新版】損益分岐点と後悔しない選び方をFPが解説

こんにちは!橿原市のFP、金川です。
「年金は早くもらった方がいい?それとも遅らせた方が得?」老後相談で最もよく聞かれる質問のひとつです。
2022年4月の年金制度改正で、繰り上げ・繰り下げのルールが大きく変わりました。古い情報のまま判断すると損をする可能性があります。2025年版として最新情報で解説します。
年金の受取時期は「65歳」が基本
老齢基礎年金・老齢厚生年金は原則65歳から受け取ります。これを基準として、早める(繰り上げ)か、遅らせる(繰り下げ)かを選べます。
繰り上げ受給【2022年改正で減額率が緩和】
60〜64歳の間に受け取り開始する「繰り上げ受給」。早くもらえる分、年金額は一生涯減額されます。
| 項目 | 2022年3月まで | 2022年4月以降 |
|---|---|---|
| 減額率(1ヶ月あたり) | 0.5% | 0.4%(緩和) |
| 最大減額率(60歳受取) | 30%減 | 24%減(緩和) |
たとえば月15万円受け取れるはずの方が60歳から繰り上げると、改正後は月約11.4万円に。その差額が一生続きます。
繰り上げが向いている人
- 健康に不安があり、長生きをあまり期待できない方
- 60歳以降に大きな収入源がない方
- 配偶者がおらず、遺族年金を受け取る立場でない方
繰り上げの注意点
- 一度決めたら取り消しできない
- 繰り上げ期間中に障害状態になっても、障害基礎年金を受け取れない場合がある
- 国民年金の任意加入ができなくなる
- 寡婦年金の権利がなくなる(第1号被保険者の女性)
繰り下げ受給【2022年改正で上限が75歳に拡大】
66歳以降に受け取り開始する「繰り下げ受給」。遅らせた分だけ年金額が増額されます。
| 項目 | 2022年3月まで | 2022年4月以降 |
|---|---|---|
| 増額率(1ヶ月あたり) | 0.7% | 0.7%(変わらず) |
| 繰り下げ上限年齢 | 70歳 | 75歳に拡大 |
| 最大増額率 | 42%増(70歳) | 84%増(75歳) |
月15万円の方が75歳まで繰り下げると、月約27.6万円になります。長生きすればするほど有利です。
繰り下げが向いている人
- 健康で長生きする可能性が高い方
- 65〜74歳の間に十分な収入・資産がある方
- 配偶者が若く、遺族年金として大きな金額を遺したい方
繰り下げの注意点
- 加給年金は繰り下げ中は支給停止(配偶者がいる場合は要注意)
- 在職老齢年金との調整が必要な場合がある
- 繰り下げ待機中に死亡した場合、受け取り総額が少なくなるリスク
- 住民税・社会保険料が上がる可能性がある
損益分岐点:何歳まで生きれば元が取れる?
| 選択 | 損益分岐点(おおよそ) |
|---|---|
| 60歳繰り上げ vs 65歳通常 | 約76〜77歳 |
| 65歳通常 vs 70歳繰り下げ | 約81〜82歳 |
| 65歳通常 vs 75歳繰り下げ | 約86〜87歳 |
FPからひと言:日本人女性の平均寿命は約88歳、男性は約81歳(2023年)。平均寿命だけ見ると「繰り下げの方が得」に見えますが、税金・社会保険料の増加、配偶者の状況、退職金・貯蓄の有無によって最適解は変わります。単純な損益分岐点だけで判断するのは危険です。
「65歳受取」が意外と正解なケースも多い
繰り上げ・繰り下げを検討する前に、65歳からそのまま受け取るという選択肢の強みも整理しておきましょう。
- 加給年金・振替加算を確実に受け取れる
- 健康リスクに関係なく安定した収入が得られる
- 受取額の予測がシンプルで家計管理しやすい
結論:繰り上げ・繰り下げの判断に必要な情報
- ねんきん定期便で自分の年金見込額を確認する
- 65歳時点での貯蓄・収入を把握する
- 配偶者の年齢・年金状況を確認する
- 健康状態と家系の長寿傾向を考慮する
- 税金・社会保険料への影響を試算する
これらをトータルで見ないと正しい判断はできません。「繰り下げが得」という情報だけを信じて後悔するケースも、FPとして何度も見てきました。
「老後も働く」を前提にしすぎない
繰り下げの判断でよく聞くのが「その分は働いて稼げばいい」という考え方です。確かに高齢者の就労率は上昇しています。しかし、AIや自動運転の普及によって、高齢者が就きやすかった単純作業・事務・運転系の仕事が将来的に減少する可能性があります。
- 健康上の理由で「働けると思ったが断念した」ケースはFP相談でも頻繁に出てくる
- 「生涯現役」は理想だが、健康寿命と労働寿命は必ずしも一致しない
- 高齢者雇用の多くを占める単純作業・清掃・運転は、AI代替リスクが高い職種でもある
年金の受給開始時期は「働けることを前提にしない」計画で判断するのが安全です。繰り下げで増やした年金額の恩恵を受けるには、長く健康でいる必要があることを念頭に置きましょう。
監修:かながわFP相談所 FP金川
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かながわFP相談所(奈良県橿原市)は保険・NISA・住宅ローン・ライフプランを中立な立場でサポートする独立系FPです。橿原市・奈良市・大和高田市・桜井市など奈良県全域+全国オンライン対応。
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この記事を書いた人
かながわFP相談所
AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員
奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。
奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。
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