傷病手当金はいくらもらえる?計算方法と申請条件をFPが解説【2026年版】

傷病手当金 社会保障

「傷病手当金 いくら」「退職後 もらえる」で検索している方へ。

ある日突然、会社に行けなくなる。

骨折、手術、うつ病、がん。理由はなんであれ、「働けない=収入がゼロ」になるわけじゃない。会社員には、傷病手当金という公的な制度がある。

でも正直、知らないまま退職してしまった人を何人も見てきた。損してる。本当に損してる。

この記事では、FPとして実際の相談事例も踏まえながら、傷病手当金の仕組みを丁寧に解説する。計算方法・申請の流れ・よくある落とし穴まで、一気に整理しよう。

傷病手当金とは?基本をおさえる

傷病手当金は、健康保険(協会けんぽ・健保組合)に加入している会社員・公務員が対象の給付金だ。

病気やケガで仕事を休み、十分な給料が受けられない場合に、最長1年6ヶ月(通算)にわたって生活を支えてくれる。

ひとことで言えば、「働けなくなったときの給与代わり」

ただし、国民健康保険(国保)に加入しているフリーランスや自営業者は対象外だ。ここは多くの人が誤解している。

対象になる人・ならない人

対象加入保険
✅ 会社員・パート・アルバイト(一定条件あり)協会けんぽ・健保組合
✅ 公務員共済組合
❌ フリーランス・自営業者国民健康保険(対象外)
❌ 専業主婦(被扶養者)本人加入ではないため対象外

パートやアルバイトでも、健康保険に加入していれば受け取れる。「非正規だからもらえない」は誤解だ。

いくらもらえる?【早見表+計算方法】

支給日額の計算式はこれだ。

支給日額 = 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3

「標準報酬月額」というのは、給料をもとに健康保険料を計算するための基準値。実際の月給とほぼ同額と考えていい。

【早見表】月給別の受取額(目安)

月給支給日額(目安)1ヶ月分の受取額6ヶ月分の受取額
20万円約4,444円約13.3万円約80万円
25万円約5,556円約16.7万円約100万円
30万円約6,667円約20.0万円約120万円
35万円約7,778円約23.3万円約140万円
40万円約8,889円約26.7万円約160万円
50万円約11,111円約33.3万円約200万円

※上記は目安。標準報酬月額は実際の給与と完全に一致しない場合がある。正確な額は加入保険組合に確認を。

支給期間は「通算1年6ヶ月」(2022年改正済み)

2022年1月に制度改正が入り、支給期間のカウント方法が変わった。

改正前は「暦上の1年6ヶ月」——途中で復職しても期間が進んでいた。
改正後は「通算1年6ヶ月」——実際に休んだ日数だけカウントされる。

たとえば、6ヶ月休んで復職、その後また再発して休んだ場合、残りの受給可能日数は1年6ヶ月-6ヶ月=1年分ある。再発・再休業のリスクが高い病気では、この改正の恩恵は大きい。

4つの支給条件を確認する

① 業務外の病気・ケガであること

業務中・通勤中の事故は「労災保険」の管轄. 傷病手当金は私生活上の病気・ケガが対象だ。

② 仕事に就けない状態であること

「療養のため労務不能」と医師が判断していることが必要。診断書ではなく、申請書に医師が記入する形式だ。

③ 3日間連続して休業していること(待期期間)

最初の3日間は「待期期間」として支給されない。有給休暇・土日を含めて連続3日でカウントされ、4日目から支給が始まる。

有給を使っても待期期間はリセットされない。むしろ待期期間中を有給で消化し、4日目以降を傷病手当金で受け取るのが一般的な流れだ。

④ 給与が支払われていないこと(または減額されていること)

傷病手当金の日額より給与が多ければ不支給(または差額のみ)。有給取得中に満額の給与が出ていれば、その期間は支給されない。

申請の流れ:意外と知らない手続きの実態

傷病手当金は自動的にもらえるものではない。自分で申請が必要だ。

  1. 医師に「傷病手当金支給申請書(療養担当者記入欄)」を記入してもらう
  2. 会社(事業主)に「出勤・給与・賞与」の欄を記入してもらう
  3. 本人が記入(氏名・銀行口座等)
  4. 加入している健康保険組合 or 協会けんぽへ提出

申請は月1回程度まとめて行うのが一般的。書類のやり取りに時間がかかるため、早めに準備を始めること。

申請できる期間:支給を受ける権利が発生した日から2年以内。
退職後に気づいた場合でも、2年以内なら間に合う可能性がある。

よくある誤解・落とし穴5選

① 「有給を使ったら受け取れない」→ 半分正解

有給取得中に給与が満額出ていれば、その期間は傷病手当金が出ない。ただし待期期間(最初の3日間)を有給で消化し、4日目以降を傷病手当金で受け取ることは可能だ。

② 「退職したらもらえなくなる」→ 条件次第で継続受給できる

退職前に継続して1年以上健康保険に加入しており、退職時に受給中(または受給できる状態)であれば、退職後も継続して受け取れる。これを退職後の継続給付という。

ただし退職後に任意継続保険に加入しても、それとは別の話。条件を正確に確認することが重要だ。

③ 「アルバイトはもらえない」→ 誤解

健康保険に加入していれば、雇用形態は関係ない。週20時間以上・一定規模の会社勤務のパート・アルバイトも対象になることが多い。

④ 「出勤した日があると全部止まる」→ 誤解

休業中に一部出勤した日は支給対象外。ただし別の日が休業であれば、その日分は支給される。出勤した日だけ止まるイメージだ。

⑤ 「障害厚生年金と同時に満額受け取れる」→ 調整される

障害厚生年金を受け取っている場合、傷病手当金は日額が年金の日額を上回る部分のみ支給される。完全な二重受給はできない。

傷病手当金では「足りない」現実もある

傷病手当金は給与の約2/3。月30万円の人なら、受取額は約20万円だ。

たとえば、奈良・橿原エリアで住宅ローンを組んでいる30代の共働き夫婦を考えてみよう。夫が突然、悪性リンパ腫と診断されたとする。

  • 治療期間:最低でも6ヶ月〜1年以上
  • 月収30万円 → 傷病手当金で約20万円
  • 毎月の生活費・ローン返済:25万円

月5万円の赤字が、最長1年6ヶ月続く。さらにその後は?

傷病手当金には上限がある。フリーランスや自営業者にはそもそも存在しない。子どもの教育費・老後資金の積立まで考えると、2/3の収入だけでは心もとない家庭は多い。(※傷病手当金だけでは不安な場合、就業不能保険と障害年金で備える方法を解説していますので参考にしてください。)また、フリーランスに休業手当がない現実を解説した記事もあわせてご覧ください。

こういった「給付の空白」を補うのが、就業不能保険所得補償保険だ。

→ 関連記事:がん保険と医療保険、何が違う?FPが本音で解説

→ 関連記事:血液のがんは、出口の見えない治療費との戦いだった

→ 関連記事:iDeCo拡充2027年版|退職金代わりに使える?(※リンクは公開後に設定)

まとめ:傷病手当金は「知っている人だけが使える制度」

  • 会社員・公務員が対象(フリーランス・自営業者は対象外)
  • 支給額は給与の約2/3、最長1年6ヶ月(通算)
  • 待期期間3日間を経て、4日目から支給開始
  • 退職後も一定条件を満たせば継続受給できる
  • 申請期限は2年以内——退職後でも間に合うことがある
  • 傷病手当金だけでは不足するケースもある

この制度を「知っている」と「知らない」では、長期療養時の家計ダメージがまるで違う。

病気やケガは、準備しているときには来ない。だからこそ、元気なうちに仕組みだけでも理解しておいてほしい。

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この記事を書いた人

かながわFP相談所

AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員

奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。

奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。

≫ 52歳、FP金川が病室で見た真実と、詳しい経歴はこちら

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