銀行・証券会社・保険会社が破綻したら預けたお金はどうなる?FPが保護制度を解説

銀行・証券会社・保険会社が破綻した場合のお金の保護制度をFPがわかりやすく解説するアイキャッチ画像

この記事のポイント

  • 「会社が破綻したらお金はどうなる?」の答えは、預け先によってまったく違う
  • 銀行は預金保険(ペイオフ)で1,000万円+利息まで。証券会社は分別管理で株や投信は自分のもの
  • 保険は契約者保護機構があり「破綻=契約消滅」ではない
  • 外貨預金・暗号資産など「保護の薄いお金」を知っておくことが本当のリスク管理

ニュース:決済代行の全東信が破産(負債1259億円)

2026年7月、クレジットカード決済代行の全東信が大阪地裁に自己破産を申請した。負債は約1259億円で、今年最大の倒産と報じられている(帝国データバンク・各種報道より)。

このニュースを見て、こう思った人は多いはずだ。
「お金を預けている会社が潰れたら、私のお金はどうなるの?」

全東信は銀行ではなく、飲食店などのカード売上を立て替える会社なので、一般の消費者の預金が直接消えるわけではない。ただ、この機会にぜひ知っておいてほしいことがある。

銀行・証券会社・保険会社・キャッシュレス——「会社が破綻したときのルール」は、全部違う。

結論:預け先ごとの保護制度 早見表

まず全体像から。自分のお金がどこにあるか思い浮かべながら見てほしい。

預け先守る仕組み保護の範囲
銀行の普通預金・定期預金預金保険制度(ペイオフ)1金融機関あたり1,000万円+利息
決済用預金(無利息・要求払い)預金保険制度全額
証券会社の株・投資信託分別管理+投資者保護基金分別管理なら全額自分のもの(基金は上限1,000万円の二段目)
生命保険・損害保険保険契約者保護機構責任準備金等の原則90%(契約は継続が基本)
PayPay等のキャッシュレス残高資金移動業の供託等供託金から還付(時間がかかる場合あり)
FX口座の証拠金信託保全(義務)全額信託保全が原則
外貨預金・暗号資産など預金保険・保護基金の対象外

ここから、ケース別に「何が起きるか」を見ていく。

ケース① 銀行が破綻したら——預金保険(ペイオフ)

銀行が破綻した場合、預金保険制度により、1つの金融機関につき元本1,000万円+その利息までが保護される。いわゆる「ペイオフ」だ。

  • 普通預金・定期預金・元本補てん契約のある金銭信託などが対象
  • 「決済用預金」(無利息・要求払い・決済サービス提供の3条件を満たす口座)は全額保護
  • 1,000万円を超える部分は、破綻した銀行の財産状況に応じて支払われる(全額戻らない可能性がある)
  • 外貨預金は預金保険の対象外。ここを知らない人が本当に多い

対策はシンプルで、1つの銀行に1,000万円超を置かないこと。夫婦なら名義を分けることでも枠は別になる。

ケース② 証券会社が破綻したら——分別管理が第一の防壁

ここはNISA世代に一番伝えたいところだ。

証券会社が潰れても、あなたのNISA口座の投資信託や株が消えるわけではない。

理由は「分別管理」。証券会社は法律により、顧客の資産(株・投信・預り金)を自社の資産と分けて管理する義務がある。会社の財産と混ざっていないので、破綻しても顧客資産はそのまま顧客のものだ。手続きを経て、他の証券会社に移す(移管する)ことになる。

  • SBI証券や楽天証券など、どの証券会社でもこの分別管理は共通の義務
  • 万一、分別管理に不備があった場合の二段目の備えとして投資者保護基金があり、1人あたり1,000万円まで補償される
  • 投資信託はさらに、運用会社・信託銀行でも資産が分けて管理される三重構造。販売した証券会社が消えても投信自体は存続する

注意点はひとつ。保護されるのは「資産が消えないこと」であって、投資した商品の値下がりは当然ながら補償されない。それは投資のリスクそのものだからだ。

ケース③ 保険会社が破綻したら——契約者保護機構

生命保険会社・損害保険会社には、それぞれ保険契約者保護機構という安全網がある。

  • 破綻しても「契約が消滅する」わけではない。救済会社への契約移転などで継続されるのが基本
  • 保護の水準は、生命保険なら責任準備金等の原則90%(将来の保険金支払いに備えて積み立てられているお金がベース)
  • ただし予定利率の高い古い契約などは、移転時に条件が見直され、将来受け取る保険金や解約返戻金が減る可能性がある
  • 自動車保険などの損保は、破綻後3か月以内の事故なら保険金100%支払いなど、別のルールがある

「破綻したら保険料の払い損」ではないが、「まったく無傷」でもない。だからこそ、保険は保障内容だけでなく会社の健全性も含めて選ぶのがFPの基本スタンスだ。

ケース④ キャッシュレス・決済代行の会社が破綻したら

PayPayなどのキャッシュレス残高は、資金移動業という枠組みで規制されていて、事業者は利用者資金の全額以上に相当する額を供託などで保全する義務がある。破綻した場合は供託金から還付される仕組みだが、預金保険のようにすぐ戻るとは限らず、手続きに時間がかかる可能性がある。

今回の全東信のような決済代行会社は、消費者から見ると「お店とカード会社の間」にいる会社だ。破産の直接の影響を受けるのは主に加盟店(立て替えてもらう側のお店)で、買い物をした消費者のカード決済が無効になるようなことは基本的にない。

ただ、教訓はある。キャッシュレス残高に生活資金を置きすぎないこと。残高は「支払いに使う分だけ」が原則だ。

保護が薄い・対象外のお金

最後に、セーフティネットの外側にあるお金をまとめておく。

  • 外貨預金:銀行商品なのに預金保険の対象外
  • 暗号資産(仮想通貨):交換業者に分別管理義務はあるが、預金保険も投資者保護基金もない。過去の破綻では返還まで長期化した例もある
  • ソーシャルレンディング等:保護制度なし。事業者リスクを直接負う
  • タンス預金:制度以前に、盗難・災害に対して無防備

一般的に、「高い利回りをうたう商品ほど、破綻時の安全網は薄い」——この逆相関は、覚えておいて損がない。

よくある質問

Q1. 預金が1,000万円を超えています。どう分ければいい?

別の金融機関に分ければ、それぞれの銀行で1,000万円+利息の枠が使える。同じ銀行の支店を分けても枠は増えない点に注意。すぐ使わないお金なら、個人向け国債など銀行預金以外の置き場所も選択肢になる。

Q2. ゆうちょ銀行も1,000万円まで?

ゆうちょ銀行の貯金も法律に基づき保護される。保護の考え方(上限1,000万円+利息)は一般の銀行とほぼ同様だが、根拠となる法律や仕組みが異なる。なお、ゆうちょには貯金そのものの預入限度額が別途設定されている。

Q3. SBI証券や楽天証券が潰れたら、NISAの中身は消えますか?

消えない。分別管理により顧客資産は証券会社の財産と分けられており、破綻時は他社への移管で対応される。NISA口座の非課税の扱いも移管手続きの中で引き継ぎが図られる。

Q4. 複数の証券会社に分けたほうが安全ですか?

分別管理がある以上、銀行預金ほどの「分ける必然性」はない。ただしシステム障害時に取引できなくなるリスクの分散にはなるので、資産規模が大きい人は検討の価値がある。

Q5. 保険会社の健全性はどこで確認できますか?

「ソルベンシー・マージン比率」(200%以上が健全性の目安とされる)が各社の開示資料で確認できる。ただしこれは一つの目安であり、加えて格付会社の評価や決算内容も確認すると、より多角的に健全性を判断できる。気になる場合は、加入前に確認するか、FPに聞いてほしい。

Q6. 全東信の破産で、私のクレジットカードは使えなくなりますか?

ならない。全東信は加盟店(お店)向けの決済代行会社であり、カード会社そのものではない。消費者のカード契約や決済には基本的に影響しない。

まとめ:お金は一か所に集中させない

銀行にも証券にも保険にも、それぞれ保護制度はある。それでも、FPとして最後に伝えたいのはこれだ。

今日確認すること

  1. 銀行預金——1つの銀行で1,000万円を超えていないか
  2. 証券口座——どこで・何を保有しているか把握しているか
  3. 生命保険——どの保険会社と契約しているか言えるか

でも、それ以上に大切なのは「家計全体で、どこにいくら置いているか」を見える化することだ。預金・投資・保険を別々に考えるのではなく、一つの家計として管理できていれば、万一の破綻ニュースにも落ち着いて対応できる。

制度があるから大丈夫、ではなく、銀行を分ける・生活費と運用資産を分ける・キャッシュレス残高は使う分だけ。この「集中させない」習慣こそが、どんな破綻ニュースにも動じないための、いちばん確実なリスク管理だ。

自分の場合はどう分けるのが正解か気になった方は、LINEから気軽に相談してほしい。


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※本記事は2026年7月時点の制度に基づく。保護の適用条件は個別の契約・商品により異なるため、正確な取り扱いは各機関・保険会社にご確認いただきたい。

監修:かながわFP相談所 FP金川

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かながわFP相談所(奈良県橿原市)は保険・NISA・住宅ローン・ライフプランを中立な立場でサポートする独立系FPです。橿原市・奈良市・大和高田市・桜井市など奈良県全域+全国オンライン対応。

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かながわFP相談所

この記事を書いた人

かながわFP相談所

AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員

奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。

奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。

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