大手企業の夏ボーナスは初の100万円超え。それでも手取りが少ない理由とFPおすすめの使い道

2026年夏、大手企業のボーナスが初めて平均100万円を超えたと報じられた(経団連集計)。
景気のいいニュースに聞こえる。でも、SNSの反応はこうだった。
「うちはそんなにもらってない」
「100万もらっても、手取りは全然違うでしょ」
どちらも正しい。100万円超えはあくまで大手企業の平均であって、日本の労働者の大多数を占める中小企業はこの集計に入っていない。そして、額面100万円のボーナスが銀行口座にそのまま振り込まれることもない。
FP相談でも「ボーナスの使い道」の相談は多い。ただ、その前に知っておいてほしいことがある。ボーナスから何がいくら引かれているのか、意外と答えられる人が少ないのだ。
この記事では、ボーナスの手取りの仕組みと、FPが考える使い道の優先順位を整理する。
① ボーナスから引かれるものの正体
ボーナスの額面と手取りの差は、主に次の4つで生まれる。
| 引かれるもの | 内容 |
|---|---|
| 健康保険料 | 標準賞与額×保険料率(労使折半)。40歳以上は介護保険料も上乗せ |
| 厚生年金保険料 | 標準賞与額×18.3%の半分(労使折半で本人負担は9.15%) |
| 雇用保険料 | 賞与額×本人負担分の料率 |
| 所得税(源泉徴収) | 前月の給与額と扶養人数から決まる税率で源泉徴収 |
ここで意外と知られていないのが、住民税はボーナスからは引かれないということ。住民税は前年の所得に対して計算され、毎月の給与から12分割で天引きされている。「ボーナスからも住民税が引かれている」と思っている人が結構いるが、これは誤解だ。
では、額面100万円なら手取りはいくらか。イメージはこうなる。
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 額面 | 100万円 |
| 社会保険料・所得税 | ▲20〜25万円 |
| 手取り | 約75〜80万円 |
扶養人数・年齢・前月給与によって変わるが、2割以上は最初から手元に来ない。あくまで概算なので、正確な金額はご自身の給与明細で確認してほしい。
額面で使い道を考えると、この2割の差で計画が狂う。手取りベースで考えるのが第一歩だ。
② 「ボーナス依存家計」の危険サイン
手取りがわかったところで、使い道の前にもう一つ確認したいことがある。
家計がボーナスに依存していないか、だ。
次のどれかに当てはまるなら、注意信号だと思ってほしい。
- 毎月の家計は赤字で、ボーナスで補填している
- 住宅ローンのボーナス払いを設定している
- ボーナスをあてにしたローンや分割払いがある
ボーナスは、法律で支払いが保証されたお金ではない。業績が悪化すれば減るし、ゼロになることもある。コロナ禍では、実際に多くの企業でボーナスが激減・消滅し、ボーナス払いを設定していた住宅ローンの返済に行き詰まる相談が急増した。
ボーナスは「あると嬉しいお金」であって、「ないと困るお金」にしてはいけない。
毎月の収支は毎月の給与で成立させる。ボーナスは「なくても生活が回る」前提で扱う。これが家計の基本形だ。
毎月の家計が赤字気味なら、ボーナスの使い道より先に固定費の見直しをやったほうが効果は大きい。特に保険・通信費・サブスクの3つは、一度見直せば効果がずっと続く。
③ FPが勧める使い道の順番
ここからが本題。手取りをどう振り分けるか。
相談の現場で伝えている優先順位はこうだ。
第1優先:生活防衛資金の確認
生活費の3〜6ヶ月分の現金が貯まっているか。これが最優先だ。FPの世界では「生活防衛資金」と呼ばれるお金で、病気・失業・急な出費に対する家計の防波堤になる。まだ貯まっていないなら、ボーナスの大部分はここに回すのが正解だ。
第2優先:高金利の借金の返済
リボ払い・カードローン・キャッシングの残高があるなら、投資より先に返済したほうがいい。年15%前後の金利を払いながら年5%を目指して投資するのは、計算が合わない。
第3優先:NISAなどでの資産形成
生活防衛資金があり、高金利の借金がないなら、ここで初めて投資の出番になる。
ボーナスで一括投資する方法もあるが、相場のタイミングを読むのは難しい。毎月の積立額を増やす方法も選択肢だ。初心者ほど、積立の増額のほうが心理的に続けやすい。
▶ 新NISA年初一括vs積立|株高・円安局面で「損しない境界線」をFPがデータで検証
▶ NISAはお金を「使うため」にやるもの|出口から考える資産形成
第4優先:自己投資・家族の思い出
最後に、使うことも大事だと言っておきたい。
資格取得・書籍・健康への投資は、将来の収入を増やす。家族旅行の思い出は、あとから買い直せない。全額貯金は立派に見えるが、「何のために貯めるのか」が抜けた貯金は続かない。
全部貯金も、全部消費も極端だ。「防衛資金5割・投資3割・楽しみ2割」のように、割合で決めておくと迷いが減る。割合は家計の状況によって変えていい。
④ ボーナスが出ない人・少ない人へ
ここまで読んで「そもそもボーナスがない」という人もいるはずだ。
中小企業ではボーナスなし・寸志程度という会社も普通にある。フリーランス・自営業には、そもそもボーナスという概念がない。
「大手100万円超え」のニュースを見て焦る必要はない。
ボーナスがない働き方は、毎月の家計設計がしっかりしていれば、むしろボーナス依存の家計より強い。年収を12分割で管理する家計は、収入の波に振り回されにくいからだ。
フリーランスの場合は、自分で「ボーナス積立」を作る方法がある。毎月の売上から一定額を別口座に自動振替しておき、年2回まとめて「自分ボーナス」として振り分ける。強制力のある仕組みにしておくのがコツだ。ついでに言うと、フリーランスは会社員と違って退職金もないので、小規模企業共済やiDeCoも「自分ボーナス」の振り分け先候補になる。
まとめ:額面より手取り、金額より優先順位
整理する。
- ボーナスの手取りは額面の8割前後。使い道は手取りベースで考える
- 住民税はボーナスからは引かれない(毎月の給与から天引き)
- ボーナス依存の家計は業績悪化に弱い。毎月の収支は毎月の給与で成立させる
- 使い道の順番:生活防衛資金 → 高金利の返済 → NISA等 → 楽しみ
- ボーナスがない人は12分割の家計管理と「自分ボーナス」の仕組み化
100万円もらっても使い方が決まっていない人より、30万円を計画的に振り分けている人のほうが、5年後の家計は強くなっている。相談の現場で、それを何度も見てきた。
ボーナスの振り分け、わが家の場合はどうするのが正解か——気になったら、一度家計全体を整理してみることをお勧めする。
この記事を書いたFPに直接相談できます
かながわFP相談所(奈良県橿原市)は保険・NISA・住宅ローン・ライフプランを中立な立場でサポートする独立系FPです。橿原市・奈良市・大和高田市・桜井市など奈良県全域+全国オンライン対応。
※本記事の手取り金額は一般的な概算例です。実際の社会保険料・税額は扶養状況・年齢・前月給与・保険料率等により異なります。正確な金額は給与明細・勤務先にご確認ください。
監修:かながわFP相談所 FP金川

この記事を書いた人
かながわFP相談所
AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員
奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。
奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。
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