個人向け国債はNISAで買える?【2026年】対象外の理由と代わりの選び方
「個人向け国債はNISAで買えますか?」
相談の場でも、ここ数年でかなり増えた質問です。預金金利が戻り、個人向け国債の金利も以前より目に入りやすくなったことで、「NISA枠で国債を買えば、利子も非課税になるのでは?」と考える方が増えています。
結論:個人向け国債はNISAでは買えません。
2026年時点のNISAで投資できる主な商品は、株式・投資信託・ETF・REITなどです。個人向け国債、社債、外国債券などの「債券そのもの」はNISA口座の対象外です。
ただし、これは「個人向け国債が悪い」という意味ではありません。NISAは長期で増やすお金、個人向け国債は数年以内に使う可能性があるお金、というように役割が違います。
この記事では、個人向け国債がNISAで買えない理由、国債・社債・外国債券の違い、そして家計の中でどう使い分けるかを、FPの視点で整理します。
個人向け国債はNISA対象外。利子には税金がかかる
個人向け国債は、NISA口座では購入できません。購入する場合は、証券会社や銀行などの通常口座で買う形になります。
また、個人向け国債の利子には、原則として20.315%の税金がかかります。NISAのように利子が非課税になるわけではありません。
| 商品 | NISAで買える? | 税金の扱い |
|---|---|---|
| 個人向け国債 | 買えない | 利子に課税 |
| 社債 | 買えない | 利子・売却益などに課税 |
| 外国債券 | 買えない | 利子・為替差益などに課税 |
| 投資信託 | 対象商品なら買える | NISA内の利益は非課税 |
| 上場株式・ETF・REIT | 成長投資枠で対象 | NISA内の利益は非課税 |
金融庁のNISA説明でも、NISAは株式や投資信託などの運用益を非課税にする制度として整理されています。つまり、個人向け国債のような債券を直接入れる制度ではありません。
参考:金融庁「NISAを知る」
今後、個人向け国債がNISAで買えるようになる可能性は?
最近の報道や政策議論では、「家計の安定運用」や「国債の個人保有促進」という観点から、個人向け国債をNISAの対象に加える案が話題になることがあります。
ただし、2026年7月時点で、個人向け国債がNISAで買えるようになったわけではありません。現行制度では、個人向け国債はNISA対象外です。
ここは「今の制度」と「今後の議論」を分けて考える必要があります。
- 現在:個人向け国債はNISAでは買えない
- 今後:対象に加える議論や報道はある
- 実務上:制度改正が正式決定するまでは、通常口座で考える
仮に将来、個人向け国債がNISA対象になったとしても、「NISA枠を国債に使うべきか」は別問題です。NISA枠は生涯投資枠が決まっているため、長期で増やす資産に使うのか、守る資産に使うのかは家計全体で判断する必要があります。
つまり、制度改正の可能性は追いかけつつも、今の時点では「NISAでは買えない」「買うなら通常口座」「NISA枠は長期運用資金に使うかを検討」という整理が現実的です。
では、NISAで「債券っぽい運用」はできる?
ここが少しややこしいところです。
個人向け国債そのものはNISAで買えませんが、債券を組み入れた投資信託がNISA対象商品になっている場合はあります。たとえば、国内債券型ファンド、先進国債券型ファンド、バランス型ファンドなどです。
ただし、これは個人向け国債とは性質が違います。
| 比較 | 個人向け国債 | 債券型投資信託 |
|---|---|---|
| 購入場所 | 通常口座 | NISA対象ならNISA口座 |
| 元本 | 満期まで保有すれば額面で償還 | 基準価額が変動し元本割れあり |
| 利息・分配 | 半年ごとに利子 | ファンドにより異なる |
| 価格変動 | 個人向け国債は中途換金ルールが特殊 | 金利・為替・信用リスクで日々変動 |
| 向いているお金 | 数年以内に使う可能性があるお金 | 長期運用資金の一部 |
「NISAで債券ファンドを買えば個人向け国債の代わりになる」と単純には言えません。値動きの少なさを求めるなら個人向け国債、長期分散の一部として使うなら債券型投資信託、という整理が現実的です。
なお、「定期的にお金が入ってくる仕組み」を求めて米国の高配当株ETFを検討する方もいます。ただしこちらは元本が保証されるものではなく、NISAで持っても米国側の税金は引かれます(SCHDは新NISAでも税金がかかる?配当の10%が戻らない理由)。
個人向け国債とは?特徴を整理
個人向け国債は、日本国が個人向けに発行している国債です。主な特徴は次のとおりです。
- 1万円から購入できる
- 半年ごとに利子を受け取れる
- 変動10年・固定5年・固定3年の3種類がある
- 最低金利0.05%が設定されている
- 原則として発行から1年経過後に中途換金できる
- 中途換金時は直前2回分の利子相当額が差し引かれる
「絶対に安全」と言い切ることはできません。発行体である日本国の信用リスクはあります。ただ、価格変動を大きく取りたくないお金の置き場所として、預金と並んで検討されることが多い商品です。
参考:財務省「個人向け国債」
【2026年8月】個人向け国債の金利はいくら?固定5年が変動10年を上回っています
「NISAと国債、どちらがいいのか」を考えるとき、判断材料になるのが現在の金利水準です。2026年8月募集分(発行日は9月15日)の条件は、次のとおりです。
| 商品 | 回号 | 基準金利 | 適用利率(税引前) |
|---|---|---|---|
| 変動10年 | 第197回 | 2.83% | 1.87% |
| 固定5年 | 第185回 | 2.11% | 2.06% |
| 固定3年 | 第195回 | 1.74% | 1.71% |
出典:財務省「個人向け国債 発行条件」(募集期間は2026年8月6日~8月31日)
ここで注目したいのは、固定5年(2.06%)が変動10年(1.87%)を上回っている点です。
変動10年の適用利率は「基準金利×0.66」で計算されるため、長期金利が上がっても、その全部が反映されるわけではありません。一方、固定5年は「基準金利−0.05%」です。この計算方法の違いが、現在の金利水準では逆転として表れています。
金利の水準そのものも上がっています。前月(2026年7月募集分)は固定5年が1.95%、固定3年が1.56%でしたので、1か月で0.11~0.15ポイント上昇したことになります。
ただし、これは今後も上がり続けるという意味ではありません。個人向け国債の適用利率は毎月見直されるため、来月以降どうなるかは分かりません。固定型は購入時の利率が満期まで変わらず、変動型は半年ごとに見直されるという設計の違いを踏まえて考えることになります。
税金を引くと、手取りはいくらになるのか
先に触れたとおり、個人向け国債の利子には20.315%が課税されます。ここが、NISAと比べるときに見落とされやすい部分です。
変動10年(第197回)について、財務省は税引後の適用利率を1.4901095%と公表しています。税引前1.87%との差が、そのまま税金分です。
つまり比較の構図は、こう整理できます。個人向け国債は「利率が決まっている代わりに、利子へ課税される」。NISAは「非課税である代わりに、いくら増えるかが決まっていない」。ここが両者の本質的な違いです。
どちらが有利かは、金額でも商品でもなく、そのお金をいつ何に使うのかで変わります。次の章で整理します。
NISAと個人向け国債、どちらが得?ではなく「目的」で分ける
よくある失敗は、「利回りだけ」で比べてしまうことです。
NISAと個人向け国債は、そもそも担当するお金が違います。
| お金の目的 | 候補 | 考え方 |
|---|---|---|
| 生活防衛資金 | 普通預金・定期預金 | すぐ使えることを優先 |
| 1〜5年以内に使うお金 | 預金・個人向け国債 | 大きく減らさないことを優先 |
| 教育費の一部 | 時期により預金・国債・NISAを使い分け | 使う時期が近いほど安全資産寄り |
| 老後資金 | NISA・iDeCo・預金など | 長期で増やす資産と守る資産を分ける |
| 余裕資金 | NISA・課税口座・債券など | リスク許容度に応じて配分 |
たとえば、3年後に車を買う予定のお金を、全額NISAの株式投資信託に入れるのはリスクがあります。逆に、20年後の老後資金をすべて個人向け国債だけに置くと、インフレに負ける可能性があります。
「増やすお金」と「守るお金」を分けることが大切です。
関連記事:大手3行、預金金利0.4%へ。NISAと預金、どちらを優先すべきか?
社債はNISAで買える?
社債も、原則としてNISA口座では買えません。
社債は企業が発行する債券です。国債より利回りが高く見えることがありますが、その分、発行企業の信用リスクを取ることになります。
- 発行企業が破綻すると元本や利子が支払われない可能性がある
- 途中売却では価格が下がることがある
- 利回りが高い理由を確認する必要がある
社債は「銀行預金より利回りが高いから安心」という商品ではありません。企業にお金を貸す商品なので、その企業の財務や信用力を見たうえで判断する必要があります。
外国債券はNISAで買える?
外国債券そのものも、NISA口座では買えません。
外国債券は利回りが高く見えることがありますが、円で暮らす人にとっては為替リスクが大きなポイントです。
- 外貨では利息が出ても、円高で円換算の利益が減ることがある
- 発行体の信用リスクがある
- 途中売却時に債券価格が下がることがある
- 外貨建て商品の手数料や為替コストも確認が必要
外貨建て商品は、見た目の利率だけで判断すると失敗しやすいです。外貨建て保険については、次の記事でも詳しく解説しています。
債券と金利の関係。金利が上がると債券価格は下がりやすい
債券を考えるうえで、金利との関係は避けて通れません。
一般的に、市場金利が上がると既に発行されている債券の価格は下がりやすくなります。逆に、市場金利が下がると既存の債券価格は上がりやすくなります。
個人向け国債は中途換金の仕組みが一般的な債券とは違いますが、社債・外国債券・債券型投資信託を考える場合は、この金利変動リスクを理解しておく必要があります。
関連記事:長期金利とは?預金・住宅ローン・国債・NISAへの影響をFPが解説
FPとしての結論:NISA枠は長期運用、国債は守るお金に使う
FPとしては、個人向け国債とNISAを競わせるより、役割を分ける考え方をおすすめします。
- NISA:10年以上使わないお金を、長期で育てる場所
- 個人向け国債:数年以内に使う可能性があるお金を、大きく減らさず置く候補
- 預金:生活費・緊急資金・近い将来使うお金の置き場所
大切なのは、「どの商品が一番得か」ではなく、「そのお金はいつ、何に使うのか」です。
相談の現場でも、NISAを始める前に、まず生活防衛資金・教育費・住宅ローン・保険料・老後資金を並べて整理します。そのうえで、NISAに回すお金、預金に残すお金、個人向け国債を検討してもよいお金を分けていきます。
よくある質問
Q. 個人向け国債は新NISAで買えますか?
A. 買えません。個人向け国債はNISA口座の対象商品ではありません。購入する場合は、通常口座で購入する形になります。
Q. NISAで国債に投資する方法はありますか?
A. 個人向け国債そのものは買えません。ただし、NISA対象の債券型投資信託やバランス型投資信託を通じて、債券を組み入れることはあります。ただし、投資信託は基準価額が変動し、元本割れの可能性があります。
Q. 個人向け国債と定期預金はどちらがいいですか?
A. 金利、換金のしやすさ、預け先の保護制度、使う時期で判断します。すぐ使う可能性があるお金は預金、しばらく使わないが大きく減らしたくないお金は個人向け国債も候補になります。
Q. 社債や外国債券はNISAで買えますか?
A. 社債や外国債券そのものは、原則としてNISA口座では買えません。債券を組み入れた投資信託がNISA対象になっている場合はありますが、債券そのものを持つ場合とはリスクが異なります。
Q. NISAと国債、初心者はどちらから始めるべきですか?
A. まずは生活防衛資金を預金で確保し、そのうえで使う時期が遠いお金はNISA、数年以内に使う可能性があるお金は預金や個人向け国債を検討する、という順番が現実的です。
まとめ
- 個人向け国債はNISAでは買えない
- 社債・外国債券そのものもNISA対象外
- NISAで債券に近い運用をするなら、対象の債券型投資信託などを使う方法はある
- ただし、債券型投資信託は個人向け国債と違い元本割れがある
- NISAは長期で増やすお金、個人向け国債は守るお金として考える
個人向け国債がNISAで買えないからといって、選択肢から外す必要はありません。家計全体で見れば、預金・国債・NISAはそれぞれ役割が違います。
「NISAにいくら回すべきか」「国債や預金はいくら残すべきか」は、年齢・家族構成・住宅ローン・教育費・老後資金によって変わります。商品単体ではなく、ライフプラン全体で考えることが大切です。

この記事を書いた人
かながわFP相談所
AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員
奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。
奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。
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