私立高校無償化でも残るお金|学校納付金は約2倍の調査も。奈良から大阪の私立は県の上乗せ対象外【2026年度】

こんにちは。奈良県橿原市のFP、金川です。
「高校無償化になったから、私立も行けるよね」。秋の三者面談のあと、こう話すご家庭が増えました。
半分は正解です。2026年度から、私立高校の授業料への支援は所得制限なしになりました。ただ、無償になるのは授業料だけです。入学金や施設費、制服やタブレットの代金は、これまでどおり家計から出ていきます。
しかも2026年11月には、経済的に厳しい子育て世帯を対象にした調査で、私立高校1年生の「学校納付金」の平均額が前年調査の約2倍になっていたと報じられました。私立高校全体の数字ではありませんが、授業料以外にかかるお金を考える材料にはなります。さらに奈良県に住んでいる方は、大阪の私立に通うかどうかで、受けられる支援が大きく変わります。
受験する高校を決める今の時期に、確認しておきたいお金の話をまとめます。
2026年度から、私立高校の授業料支援はどう変わったか
国の「高等学校等就学支援金」は、2026年度から新しい制度になりました。
| 項目 | 2025年度まで | 2026年度から |
|---|---|---|
| 所得制限 | あり(私立の上乗せは年収約590万円未満) | なし |
| 私立高校の支給上限(年額) | 39万6,000円 | 45万7,200円 |
| 対象になる費用 | 授業料 | 授業料 |
| 手続き | 申請が必要 | 申請が必要 |
出典:高校生等への修学支援・文部科学省(「高等学校等就学支援金・新制度の概要」)。日本国籍の方などが対象で、国籍・在留資格によっては別の制度になります。
大事なのは、この支援は家庭に現金が振り込まれるものではないという点です。国の支援金は学校が受け取り、授業料から差し引く仕組みです。自動で適用されるわけでもなく、入学後に学校の案内に従って申請します。
奈良県はさらに上乗せがある(ただし条件つき)
奈良県には、県独自の「私立高等学校授業料等軽減補助金」があります。2026年度から所得要件がなくなり、国の就学支援金と合わせて年間最大63万円(全日制・定時制)まで支援されます。
ここも「63万円がもらえる」という意味ではありません。授業料等の負担を軽くする上限が63万円ということで、授業料等がそれより安い学校なら、軽くなるのはその金額までです。
対象になるのは、次の2つを両方満たす世帯です。
- 保護者全員が奈良県内に住んでいる
- 子どもが奈良県内の私立高校等に通っている
対象の「授業料等」は、学則で決められた授業料と、すべての生徒が毎年度払う費用です。入学金や修学旅行の積立金は対象外とされています。
出典:奈良県「令和8年度 奈良県私立高等学校授業料等軽減補助制度のお知らせ」(各私立高校から配布。詳細は在学予定の学校に確認してください)
それでも残るお金:調査では「学校納付金」が前年の約2倍
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、経済的に厳しい子育て世帯を対象に行った調査があります(2026年5〜6月・保護者425人)。私立高校に進学した高1の保護者の回答を、前年の調査と比べたのが次の表です。
| 費目(高1・私立) | 2025年調査 | 2026年調査 |
|---|---|---|
| 入学金 | 14万5,961円 | 17万3,135円 |
| 学校納付金 | 7万3,364円 | 14万7,526円 |
| 制服代 | 9万3,646円 | 10万8,766円 |
| パソコン・タブレット代 | 9万660円 | 9万9,319円 |
出典:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 調査報告書(平均額)
報告書は、授業料への公費支援が広がったことで、私立高校がそれ以外の納付金を引き上げた「可能性を示している」と分析しています。
ただし、この調査は同団体の給付金を利用した世帯へのアンケートで、回答数も各費目50〜80人ほどです。私立高校全体の平均ではなく、納付金が上がった理由も報告書は「可能性」として示しているだけです。それでも、授業料が軽くなったからといって、それ以外の負担まで軽くなるとは限らない。この点は押さえておきたいところです。
同じ調査では、高校1年生の27.0%が「結局、授業料以外の出費があると思ったため、私立は選択肢に入れられなかった」と答えています。
奈良に住んで、大阪の私立に通う場合の注意点
ここは奈良のご家庭にとって一番大事なところです。
奈良県の上乗せ補助は、子どもが「奈良県内の」私立高校に通っていることが条件です。一方、大阪府の授業料支援(標準授業料63万円まで)は、原則として生徒と保護者全員が大阪府内に住んでいることが条件です(大阪府「令和8年度以降の授業料支援制度について」)。
つまり、奈良に住んで大阪の私立に通うと、県の上乗せも府の上乗せも受けられず、国の就学支援金(最大45万7,200円)だけになる可能性が高いということです。
たとえば授業料が年60万円の学校なら、差額の約14万円は毎年自己負担です。3年間で約43万円。これに入学金や施設費が加わります。
京都や和歌山など、ほかの府県の学校でも同じように考えておく必要があります。学校独自の減免制度がある場合もあるので、募集要項や説明会で必ず確認してください。
受験校を決める前に確認したい5つのこと
パンフレットの「授業料」の欄だけを見ても、実際の負担はわかりません。次の5つを、学校ごとに書き出してみてください。
- 授業料と、国・県の支援を差し引いたあとの差額(県外の学校は特に)
- 入学金と、入学時にまとめて払う費用
- 毎年かかる施設費・教育充実費などの学校納付金
- 制服・指定品・パソコンやタブレットの購入費
- 修学旅行の積立金・部活動の費用
併願で私立を受ける場合は、公立の合格発表の前に入学金を払う必要があるかどうかも確認しておきましょう。延納の扱いは学校によって違います。
家計の準備:入学の年に「まとまったお金」が出ていく
上の調査の平均額で入学金・制服代・タブレット代を足すと、約38万円になります。授業料の支援は入学後に学校を通じて受けるので、入学の前後は一時的に持ち出しが増える時期です。
- 児童手当は高校生年代まで支給されます。中学生のうちから入学の年に向けて取り分けておくと、この山を越えやすくなります
- 住民税非課税世帯などは、教科書代や教材費に使える返済不要の「高校生等奨学給付金」の対象になることがあります。手続きは都道府県ごとに違うので、学校や県に確認してください
- 高校のあとには、もっと大きな大学の費用が控えています。高校で無理をしすぎないことも大事です
大学までの見通しは大学教育費シミュレーターで試せます。教育費の貯め方は教育費の準備はどれが正解?貯蓄・保険・NISAを比較やこどもNISAとは?で解説しています。
まとめ:私立高校の「無償化」は授業料だけ。残るお金を先に数えておく
2026年度から、私立高校の授業料への支援は大きく広がりました。それでも、入学金・学校納付金・制服やタブレットの代金は残ります。そして奈良に住んで県外の私立に通う場合は、県の上乗せがない分、差額が毎年出ていく可能性があります。
「行かせてあげたい学校」と「家計が無理なく続く学校」が同じなら、それが一番です。違ったときに慌てないよう、出願の前に一度、数字で並べてみてください。
私立に進んだ場合、大学までの教育費が家計に無理なく収まるかを、初回無料で一緒に確認します。今の貯蓄額と、児童手当をどれくらい積み立てられているかをLINEで送ってください。
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※本記事は2026年11月3日時点の公表資料をもとにしています。支援の金額や要件は、在学予定の学校・都道府県の最新の案内で確認してください。

この記事を書いた人
かながわFP相談所
AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員
奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。
奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。
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