住宅ローンだけ残る地獄を回避!ハウスメーカー倒産から身を守る「3つの具体的防衛策」

【2026/07/18更新】ハウスメーカーが倒産したらどうなる?家が建たないのに住宅ローンだけ残るリスクと「住宅完成保証制度」

結論から言えば、ハウスメーカーが倒産すると「家は完成しないのに住宅ローンの返済だけが残る」という最悪の事態が実際に起こり得ます。

注文住宅の契約前に。もし工事中にメーカーが倒産したら?を想像したことはありますか?

この記事を読んでいるあなたが、これから注文住宅を建てようとしているなら、少し「残酷な未来」の話をします。

念願のマイホームを契約し、数百万円から一千万円超の着工金を振り込んだ直後、ハウスメーカーが倒産したら、どうなると思いますか?

「家が建たないんだから、お金は返ってくるだろう」
「銀行が事情を汲んで、ローンの支払いを止めてくれるだろう」

もしそう思っているなら、今すぐその認識を改めてください。あまりにも危険です。

現実はもっと非情で、「家は影も形もないのに、数千万円の住宅ローンやつなぎ融資の返済義務だけが残り、家族の人生設計が根底から崩れる」という事態が実際に起きているのです。

先日、テレビのニュースでこのトラブルを目の当たりにしました。被害に遭われた方の無念さを思うと、FPとして、一人の人間として本当に胸が痛みました。しかし、感情論では解決しません。近年は中小工務店だけでなく、ハウスメーカー倒産や工務店倒産のニュースも増えており、契約前のリスク確認はますます重要になっています。

【2026年7月17日追記】東京商工リサーチの調査によれば、2026年上半期(1〜6月)のハウスメーカー倒産(負債1,000万円以上)は118件で、前年同期比87.3%増。上半期の倒産が100件を超えるのは、2013年(106件)以来13年ぶりだという。原因の内訳は「販売不振」が85件(72.0%)、既往の赤字累積が20件(16.9%)で、業績不振が大半を占める。追い打ちをかけるように、7月16日には中堅ハウスメーカーのアエラホーム(株)が民事再生法の適用を申請した。今回は弁護士や金融機関が施主の権利保護に奔走し、オーナーへの被害拡大は防がれたと報じられているが、それは結果的に守られただけで、保証があったからではない。この記事で紹介する「命綱」を契約前に自分の目で確認しておくことの重要性は、むしろ増している(出典:東京商工リサーチ)。

私は普段、ファイナンシャルプランナー(FP)としてだけでなく、宅地建物取引士(宅建士)、そして証券外務員という三つの専門家視点から家計を見ています。その立場から断言します。

住宅メーカーの倒産は、単なる住まいのトラブルではありません。あなたの人生の総資産すべてが凍結しかねない「深刻な金融事故」なのです。

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ハウスメーカーが倒産したら、何が起きるのか。現実は想像以上に残酷です

ハウスメーカーや工務店が倒産した瞬間に、現場で起きる「絶望のチェックリスト」を整理します。

  • 工事の即時停止: 現場の職人や下請け業者は、未払いを恐れて即座に引き上げます。
  • 既払金の消滅: 契約時・着工時に支払ったお金は、破産手続きの中で「一般債権」となり、戻ってくる可能性は限りなくゼロに近いのが現実です。
  • 二重ローンのリスク: 別の業者に引き継ぐ際、当初の予算を大幅に超える追加費用が発生します。
  • 冷徹な返済義務: 建物がなくても、銀行との「金銭消費貸借契約」は有効。ローン返済だけは来月から淡々と始まります。

土地代と中間金としてすでに1,000万円以上を支払ったタイミングで倒産したとします。建物は骨組みの状態で放置され、支払った大金は戻らない。一方で、土地のローンやつなぎ融資の返済だけは口座から引き落とされ続ける……。これが、ニュースで目にする「地獄の入り口」です。

家が建たなくても、銀行は「返済を求めます」。これが金融の冷徹なルール

ここが一番、感情的に納得しにくい部分でしょう。住宅ローンは、銀行が「家を完成させること」を条件にお金を貸しているわけではありません。銀行はあくまで、「あなた(施主)の信用」に基づいてお金を貸しています。

証券外務員の視点から見れば、これは「価値を生まない不良資産(未完成の家)に対して、利息を払い続ける」という、資産形成において最悪のシナリオです。施工会社が倒産しようが、銀行からすれば「契約に基づき、融資した資金の返済を求めます」となる。これが金融の現実です。

※住宅ローンの金利リスクや仕組みについては、変動金利の「5年ルール」で安心は危険?金利上昇で起きる未払利息のリスクでも詳しく解説しています。

宅建士の視点:登記と権利の壁が、再建をさらに困難にする

さらに問題を複雑にするのが権利関係です。宅地建物取引士の視点で見ると、放置された現場は「厄介な負債」と化します。

  • 所有権の所在: 工事中の建物がどこまであなたの物として認められるか。契約内容によっては、倒産会社の資産(破産財団)として差し押さえられるリスクがあります。
  • 追加見積もりの発生: 他社が投げ出した工事を引き継ぐのは、業者にとって最大のリスク。点検費用や資材手配で、当初より数百万円高い見積もりを提示されるのが通例です。

住宅会社の倒産は、残念ながら「最後に契約した人が一番大きなリスクを負う構造」

厳しい言い方になりますが、会社の経営状態が悪化した際、プロである銀行や資材メーカーはいち早く察知して取引を引き上げます。しかし、情報の少ない一般の施主様だけは、営業マンの「今だけのキャンペーン」を信じて、倒産直前に多額の契約金を振り込んでしまうケースが後を絶ちません。

一番の弱者が、一番大きなババを引かされてしまう。この構造を、私はFPとして変えたいと切に願っています。

「住宅完成保証制度」という命綱。これは契約前の最低限のパスポートです

では、どうすればいいのか。私が契約前のお客様に必ず確認してほしいとお伝えしているのが、住宅完成保証制度への加入です。

これは、工事中に施工会社が倒産した場合に、工事の引き継ぎや追加費用をサポートしてくれる「命綱」です。加入には厳しい経営審査が必要なため、この制度を利用できること自体が、その会社の健全性を示す客観的な証拠になります。

宅建士としての実務経験から言わせてもらえば、この保証がない会社との契約は、命綱なしでスカイダイビングをするようなものです。「うちは大丈夫ですよ」という根拠のない言葉ではなく、合理的な保証があるかどうかを、必ず契約書に判を押す前に確認してください。

施工会社が倒産した場合、完成保証の有無で何がどう変わるのかを整理します。

項目完成保証に加入している加入していない
工事の引継ぎ先保証機関が引継ぎ業者を手配・あっせんする仕組みがある自力で探すことになる
追加費用保証の範囲内で一部が補填され得る全額が自己負担
既払金の扱い保証の対象となる範囲がある破産手続の一般債権となり、戻る見込みは薄い
住宅ローンの返済いずれの場合も返済義務は残る(保証は工事の話であり、融資契約とは別)
加入していること自体の意味加入審査を通っている=経営の健全性を測る客観的な材料になる審査を受けていない、または通らなかった可能性がある

保証の範囲・上限・引継ぎの手順は制度やプランによって異なります。契約前には「加入していますか」だけでなく、どの機関のどの保証かまで確認してください(住宅完成保証制度・住宅保証機構株式会社)。

なお、会社が倒産せず社長が失踪して工事だけが止まるという、救済の枠組みがさらに働きにくいケースもあります。倒産との違いは住宅メーカーの工事放置──契約前のチェックリストで整理しています。

資産のすべてを家づくりに投じない。FPが教える「三段構え」の防衛線

家づくりも、人生設計の一部です。どんなに素晴らしい図面よりも、まずはあなたの生活を破綻させないための「防衛設計図」が必要です。

  • FPの視点: 万が一の事態が起きても、家族の生活が維持できるキャッシュフローを確保する。
  • 証券外務員の視点: すべての資産を不動産(家)に偏らせず、流動性の高い資産を残してリスクを分散する。
  • 宅建士の視点: 契約内容を精査し、保証制度を活用して「物理的な完成」を担保する。

どんなに素晴らしい断熱材も、会社が潰れてしまえばただの板です。家づくりという大きな決断の前に、一度冷静な第三者の目を入れてください。奈良・橿原周辺で家づくりを考えている方、その資金計画に穴がないか、私が三つの視点から徹底的に検証します。

よくある質問(ハウスメーカーの倒産と住宅ローン)

Q. ハウスメーカーが倒産したら、住宅ローンの返済は止まりますか?

止まりません。住宅ローンは「家を完成させること」ではなく、借りた方ご本人の信用に基づく契約です。建物が未完成でも、金融機関との金銭消費貸借契約は有効なまま残ります。ここが最も誤解されやすい点です。

Q. 支払い済みの着工金や中間金は戻ってきますか?

破産手続きのなかで一般債権として扱われるため、戻る見込みは高くありません。だからこそ、支払いの前段階で完成保証の有無を確認しておくことが重要になります。

Q. 住宅完成保証制度に入っていれば全額カバーされますか?

されません。保証の範囲・上限・引継ぎの手順は制度やプランによって異なります。また保証はあくまで工事に関するものであり、住宅ローンの返済義務そのものが免除されるわけではありません。

Q. 完成保証に加入しているかは、どう確認すればいいですか?

契約前に「住宅完成保証に加入していますか」と直接尋ね、どの保証機関のどのプランかまで確認してください。加入には経営審査があるため、加入できていること自体が健全性を測る客観的な材料になります。

Q. 工事を引き継いでもらう場合、費用は上がりますか?

上がるのが通例です。他社が中断した工事の引継ぎは引き受ける側のリスクが大きく、点検費用や資材の手配し直しが発生します。当初より数百万円高い見積もりになることもあります。

Q. 倒産と「工事放置」は同じものですか?

違います。倒産は法的手続きが始まり、債権者名簿や財産の分配というルールが働きます。一方、社長が失踪して法人格だけが残る工事放置では、その枠組み自体が働きません。完成保証も制度上は倒産・廃業が要件となるため、扱いが変わる可能性があります。

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かながわFP相談所

この記事を書いた人

かながわFP相談所

AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員

奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。

奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。

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