夏休みはお金をかけないとダメ?「体験格差」に悩む子育て世代へ、奈良のFPが伝えたいこと

奈良県でお金をかけずに楽しめる夏休みの体験スポットを紹介するアイキャッチ画像。川遊びを楽しむ親子の様子。

こんにちは。奈良県橿原市の独立系FP、かながわFP相談所の金川です。

夏休みが近づくと、ご相談の場でもSNSでも、決まって増える話題があります。

「体験格差」。

「周りの子はキャンプも旅行も習い事も行っている。うちは何もしてあげられていない…」。そんなふうに、ご自身を責めるような口ぶりで話される親御さんに、何人もお会いしてきました。

子どもの頃、近所を流れる吉野川分水の水路を友達と探検したり、小さな橋を渡ったりして遊んでいました。今思えば、特別なお金は何もかかっていません。でも、あの頃の景色や友達との笑い声は、何十年経った今でも覚えています。

「体験格差」という言葉を聞くたびに、私はそんな子どもの頃を思い出します。

奈良県は、海こそありません(私たち奈良県民は、海を見ると「海や!海や!」と騒ぐことでおなじみです)。でも、川や山、歴史、自然には恵まれています。「体験格差」という言葉を聞いたとき、私は「奈良だからこそ伝えられることがある」と感じました。

だからこそ、FPとして、最初にお伝えしたいことがあります。

お金をかけることだけが、体験ではありません。

この記事では、「体験格差」という言葉の意味を整理したうえで、奈良県内でお金をあまりかけずに楽しめる夏の体験スポットと、夏休みの家計・保険のポイントをまとめました。少し長いですが、夏休み前のどこかで読んでいただけたらうれしいです。

「体験格差」とは?——言葉に振り回されないために

体験格差とは、家庭の経済状況などによって、子どもが学校の外で得られる体験——旅行、キャンプ、海水浴、習い事、動物園や美術館——の量や質に差が生まれてしまうことを指す言葉です。ここ数年、書籍やニュースで取り上げられ、一気に広まりました。

背景には実際の調査データがあります。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが全国の小学生の保護者約2,100人に行った調査では、世帯年収300万円未満の家庭では、子どもの約3人に1人(29.9%)が1年間で学校外の体験活動を何もしていない一方、年収600万円以上の家庭では11.3%と、大きな差があることが示されています(出典:子どもの「体験格差」実態調査 最終報告書・チャンス・フォー・チルドレン)。

これは社会全体で向き合うべき、とても大切な問題です。経済格差だけでなく、住んでいる地域によって体験の選択肢が違うという「地域差」の側面もあります。

ただ、一人ひとりの親御さんがこの言葉に追い詰められて、「お金をかけられない自分はダメだ」と感じてしまうとしたら——それは少し違う、と私は思うのです。

「モノより思い出。」

昔、日産・セレナのCMに「モノより思い出。」という有名なキャッチコピーがありました。

私は、この言葉は今の子育て世代にこそぴったりだと思っています。

子どもが大人になったとき覚えているのは、「いくら使ったか」よりも、「誰と笑ったか」「何を発見したか」ではないでしょうか。

高いお金を払ったテーマパークの記憶より、川でお父さんが転んで全身ずぶ濡れになったことのほうが、いつまでも家族の笑い話として残っていたりする。思い出とは、そういうものではないでしょうか。

そして幸いなことに、私たちが暮らす奈良には、お金をかけなくても「誰と笑ったか」「何を発見したか」をつくれる場所が、驚くほどたくさんあります。

奈良には、お金をかけなくても豊かな体験がある

ここからは、私が子育て世代のお客様との雑談でもよくおすすめしている、奈良の夏スポットをご紹介します。いずれも開催状況・開館日・料金は変わることがありますので、お出かけ前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

奈良県で子どもと楽しめる夏休みスポット一覧
スポット楽しみ方
橿原市昆虫館昆虫観察
吉野川川遊び・生き物探し・水切り
天川村川遊び・星空・昆虫採集・キャンプ
東吉野村鮎のつかみ取り・釣り体験
明日香村歴史体験・レンタサイクル
奈良県立図書情報館無料イベント(雨の日にも)
下北山村ツチノコ探し

橿原市昆虫館——「はじめての昆虫」に出会う場所

香久山のふもとにある橿原市昆虫館は、生きたチョウが飛び交う温室が名物です。標本だけでなく「生きている虫」に出会えるので、虫が好きな子はもちろん、虫が苦手だった子が好きになって帰ってくることもあります。手頃な入館料で半日楽しめる、橿原の子育て世代の定番スポットです。

吉野川——川遊びと生き物探しと、水切りと

吉野川の浅瀬では、川遊び、生き物探し、そして石の水切り。道具は何もいりません。網とバケツがあれば上出来です。「平べったい石を探す」という単純なことに、子どもは驚くほど夢中になります。親のほうが本気になって、投げすぎて次の日に肩が上がらなくなるところまでがセットです。

子どもは何回跳ねたかは案外覚えていません。でも、「もう一回やって!」と笑っていた時間は、きっと覚えています。

天川村——「子どもの頃の夏」がまだ残っている場所

少し足を延ばせるなら、天川村を厚めにおすすめします。

天川村は標高が高く、真夏でも朝晩はひんやりと涼しい。エアコンなしで眠れる日もあるほどです。日中は透きとおった川で泳ぎ、夕方には土のにおいが立ちのぼり、夜は満点の星空。街灯の少ない夜道で見上げる天の川は、子どもよりも先に大人が声を上げてしまいます。

朝、樹液の出るクヌギを見に行けば、カブトムシやクワガタに出会えることもあります。キャンプ場も多く、テント泊デビューにもちょうどいい。

私たちの世代が覚えている「子どもの頃の夏」が、天川村にはまだそのまま残っています。冷房の効いた商業施設で過ごす1日と、川と星とカブトムシの1日。かかるお金は後者のほうがずっと少ないのに、記憶に残るのはたぶん、後者です。

そして最近の天川村は、子どもだけが楽しめる場所ではありません。地元のクラフトビールを楽しめる醸造所もあり、川遊びを終えたあとに、大人はビールでひと息つく(運転される方は、お土産にするのも良いですね)。子どもは昆虫探しや川遊び、大人は自然や食を楽しむ。家族みんながそれぞれの時間を満喫できるのも、天川村の魅力です。

子どもが楽しそうに遊ぶ姿を眺めながら、川の音を聞いているだけで、不思議と心が軽くなる。夏休みは子どものためだけではなく、毎日頑張っているお父さん、お母さんが少し肩の力を抜く時間でもあってほしい。そんなことも、この場所へ来るたびに思います。

東吉野村——鮎のつかみ取りと「いただきます」の意味

東吉野村では、夏に鮎のつかみ取りや川釣りが楽しめるスポットがあります(開催状況は年によって変わるため、事前に村の観光情報をご確認ください)。

自分の手で捕まえた魚を、焼いて、食べる。「いただきます」の意味を、どんな教材よりも深く教えてくれる体験です。魚を触れなかった子が、最後には夢中で追いかけている——そんな変化を見られるのも、親にとってのごほうびです。

明日香村——教科書の中に入っていく体験

石舞台古墳、高松塚古墳、亀石。明日香村は、村全体が「教科書の中」です。レンタサイクルで田園を走りながら古墳や遺跡を巡れば、社会の授業が「行ったことある場所」に変わります。歴史は、暗記科目ではなく思い出になったとき、いちばん強い学びになります。

奈良県立図書情報館——無料イベントの宝庫

雨の日や、猛暑で外に出られない日の選択肢として、奈良県立図書情報館もおすすめです。夏休み期間は子ども向けの無料イベントや展示が開催されることも多く、「図書館=本を借りる場所」というイメージが良い意味で裏切られます。

下北山村——ツチノコを探しに行く(笑)

そして最後は少し変化球を。下北山村は「ツチノコ」の目撃情報で知られる村です。

いるのか、いないのか。それは分かりません。でも、「ツチノコってほんまにおるん?」から始まる親子の会話、道中の車内での作戦会議、それ自体がもう体験です。見つからなくても大丈夫。見つからないから、来年も探しに行けます。

とはいえ、夏休みは意外とお金がかかる

「お金をかけない体験」を挙げてきましたが、FPとして正直に言うと、夏休みはそれでもお金がかかります。

  • ガソリン代・高速代(お出かけが増える)
  • 外食・飲み物代(外にいる時間が長い)
  • レジャー用品(浮き輪・網・サンダル・日焼け止め…)
  • 帰省の費用・お盆の出費

一つひとつは小さくても、積み重なると夏休み全体で5〜10万円程度になったというご家庭も珍しくありません。

だからこそ、おすすめしたいのが「夏休み予算」をあらかじめ決めておくことです。「今年の夏は全部で◯万円」と最初に枠を決めて、家族で「どこに使うか」を話し合う。予算を決めるのは我慢のためではなく、罪悪感なく使うためです。枠の中なら、思いきり楽しんでいい。この安心感が、夏の思い出の質を上げてくれます。

体験も、教育費も。だからライフプラン

「体験にお金を使いたい。でも教育費の積立もある。住宅ローンもある」——子育て世代の家計は、いつもこの三つ巴です。

体験は「今しかできない投資」、教育費は「将来のための投資」。どちらも大切だからこそ、感覚ではなく数字で配分を決める必要があります。教育費の準備方法は貯蓄・保険・NISAの比較記事で詳しく解説していますが、大切なのは「教育費を聖域にして体験をゼロにする」でも「今を楽しんで将来に目をつぶる」でもなく、ライフプラン全体の中で両方の置き場所を決めることです。

一番大切なのは、安全です

思い出は、無事に帰宅するまでが思い出です。毎年、夏には水難事故・山の遭難・熱中症のニュースが繰り返されます。自然豊かな奈良は、裏を返せば「急な深み」「天候の急変」「獣道」といった危険とも隣り合わせです。川では膝より深い場所に子どもだけで行かせない。ライフジャケットを着せる。山では舗装路から外れない。炎天下では無理をしない。そして何より、お子さんから絶対に目を離さないでください。

熱中症は大人も油断できません。万が一、熱中症で仕事を休むことになった場合のお金については熱中症と給付金の記事にまとめています。また、猛暑そのものが家計に与える影響は猛暑と家計リスクの記事もご参考に。

傷害保険・個人賠償責任保険も、出発前に確認を

ここはFPとして、もう一歩だけ踏み込ませてください。夏のレジャー前に確認しておきたい保険が2つあります。

①傷害保険——川遊びや山遊びでのケガ・通院に備える保険です。お子さんのケガは通院日数が積み重なりがちなので、通院補償の有無がポイントになります。

②個人賠償責任保険——子どもが他人にケガをさせてしまった、お店のものを壊してしまった、自転車で人にぶつかってしまった…という「賠償」に備える保険です。奈良県では自転車保険の加入が義務化されており、詳しくは自転車保険の解説記事をご覧ください。

注意したいのは、これらが自動車保険や火災保険の特約としてすでに付いていることが多い点です。新しく入る前に、まず手元の証券を確認してください。加入していると思っていたら、実は付いていなかった。逆に、同じ補償に複数加入していた——こうしたケースは、実際のFP相談でも珍しくありません。個人賠償責任保険は基本的に1本あれば家族全員をカバーできるので、重複分は見直しの対象です。

まとめ——「お金をかけた体験」と「心に残る体験」は、同じではない

「体験格差」という言葉だけを見ると、不安になってしまうかもしれません。

でも私は、こう思っています。「お金をかけた体験」と「心に残る体験」は、必ずしも同じではない。

奈良には、川があります。山があります。昆虫がいます。星空があります。1400年の歴史があります。そして、家族で笑い合える場所が、本当にたくさんあります。

「モノより思い出。」——昔、多くの人の心に残ったこのキャッチコピーは、今でも色あせていないと感じています。

子どもに残せる一番の贈り物は、高価な旅行ではなく、家族で一緒に過ごした時間なのかもしれません。

最後に——県外の皆さんへ、そしておすすめ募集

ここまで奈良の話ばかりしてきましたが、この記事を読んでくださっている県外の皆さんがお住まいの地域にも、その土地ならではの魅力や、家族で楽しめる場所がきっとあるはずです。ぜひ、お近くの自然や公園、歴史ある町並み、地域のイベントにも目を向けてみてください。

そして、「こんな場所があるよ」「ここは子どもが大喜びだったよ」というおすすめがあれば、ぜひ教えていただけるとうれしいです。皆さんのおすすめスポットをきっかけに、この記事も少しずつ育てていけたらと思っています。

子どもは、「どこへ行ったか」よりも、「誰と行ったか」を覚えているものです。

今年の夏が、ご家族にとって何年経っても笑って思い出せる夏になることを願っています。

「今年の夏、いくらまで使って大丈夫?」を数字で確認しませんか

教育費、住宅ローン、保険、老後資金。子育て世代のお金の悩みは、すべてつながっています。「今年の夏休みはどこまで使っても大丈夫?」「教育費を準備しながら、家族の思い出も大切にしたい」——そんな方は、一度ライフプランを作ってみませんか。数字で将来が見えると、「安心して使えるお金」が分かります。だからこそ、家族との時間も、将来への備えも、どちらも大切にできるようになります。

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かながわFP相談所

この記事を書いた人

かながわFP相談所

AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員

奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。

奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。

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