新NISAは暴落・戦争で売るべきか?歴史と3つのチェックリストでFPが答える

新NISAを始めて最初の大きな下落を経験したとき、正直「売った方がいいのか」と思った。

スマホを開くたびに赤い数字。SNSでは「暴落だ」「損切りすべき」という声が飛び交う。ファイナンシャルプランナーである自分でさえ、一瞬そう感じた。

ましてや投資を始めたばかりの人にとって、最初の下落は強烈な体験だ。その不安は正常な反応だ。問題は、その不安に任せて動くかどうかだ。

本記事では、過去の歴史的事例から市場の動きを振り返り、下落局面で冷静さを保つための「3つのチェックリスト」を解説する。

この記事でわかること

  • 戦争や暴落のニュースでNISAを「今すぐ売るべき」ではない理由
  • 湾岸戦争・リーマンショック・コロナ後に市場はどう動いたか
  • 狼狽売りを防ぐために確認すべき「3つのチェックリスト」

市場が最も嫌うのは「不透明感」である

戦争や金融危機のニュースが出ると、多くの投資家が「NISA 暴落」「NISA 売るべき」と検索を始める。これは資産を守りたいという本能によるものだ。

しかし、投資において真に恐ろしいのは事象そのものではない。市場が最も嫌うのは「何が起こるか分からない状態」、すなわち「不透明感」だ。

危機が発生した直後は不確実性が高まり、株価は過剰に反応して急落する。だが、事態の推移が見え始め、不透明感が解消されるにつれて、マーケットは実体経済を反映した適正な水準へと回復していく。


歴史に学ぶ:危機と回復のプロセス

過去の歴史を振り返れば、市場がいかにして危機を乗り越えてきたかがわかる。

  • 湾岸戦争(1991年):開戦前は不透明感から株価が低迷したが、開戦直後に底を打ち、急回復を見せた。
  • リーマンショック(2008年):世界的な金融システムの危機により1年以上の長期にわたって下落したが、その後は歴史的な強気相場へと繋がった。
  • コロナショック(2020年):未知のウイルスへの恐怖から短期間で記録的な暴落を記録したが、その後の回復も極めて早かった。

マーケットはこれまで、パンデミック、紛争、金融不況など数え切れないほどの危機を乗り越えてきた。重要なのは、短期的なニュースに振り回されず、この「回復の力」を信じることだ。


「今すぐ売りたい」——相談現場でのリアル

暴落が起きると、必ずLINEに相談が届く。

「全部売って現金に戻した方がいいですか」「もうNISAやめようと思っています」——そういうメッセージだ。

そのたびに私が確認するのは、3つだけだ。生活防衛資金はあるか。投資の目的は変わったか。10年後の自分に必要なお金か。

ほとんどの場合、答えは「生活防衛資金はある、目的は変わっていない、老後のお金だ」となる。

であれば、売る理由がない。怖いのは相場ではなく、不安に任せて動くことだ。

「わかりました、続けます」——相談後にそう返事をくれた方が、数年後に「あのとき売らなくてよかった」と言ってくれることが何度もあった。


暴落は積立投資家にとって「バーゲンセール」でもある

毎月一定額を積み立てている人にとって、暴落は実は有利に働く局面でもある。

たとえば毎月3万円を積み立てているとする。基準価額が1万円のときは3口買える。それが暴落で7,000円に下がったとする。同じ3万円で約4.3口買えることになる。

価格が下がれば、同じ金額でより多くの口数を取得できる。これがドルコスト平均法の効果だ。

もちろん下落が長期化すれば含み損は膨らむ。それは事実だ。しかし積立を続けている限り、回復局面での利益も大きくなる構造になっている。

暴落時に積立をやめたり売却したりすることは、安売りセールの開店と同時に店を出るようなものだ。


一括投資と積立投資では、暴落時の対応が違う

ここまでは主に積立投資の話をしてきた。一括投資をした人は少し状況が異なる。

一括で投資した直後に暴落が来ると、含み損の額が大きく、精神的なダメージも積立より重い。「なぜあのタイミングで入れたのか」と後悔する人も多い。

ただ、結論は同じだ。長期目的のお金であれば、売る理由がない。一括投資の場合は「追加購入」という選択肢もある。余裕資金があれば、暴落時に少し買い増すことで取得単価を下げられる。

いずれにせよ、暴落時に最もやってはいけないのは「感情で売る」ことだ。一括でも積立でも、その原則は変わらない。


狼狽売りを防ぐための「3つのチェックリスト」

下落局面で「売るべきか」と迷った際は、以下の3点を確認してほしい。

1. 生活防衛資金は確保されているか

少なくとも生活費の半年〜1年分が、投資に回していない「現金」として確保されているか。手元に十分な現金があれば、株価がいくら下がっても日々の生活が脅かされることはない。焦って売る必要がない状態を作ることが、メンタルを守る最大の武器となる。

2. 資産配分(アセットアロケーション)は適切か

今の評価損を見て、夜も眠れないほどのストレスを感じるなら、それはリスクを取りすぎている証拠だ。自分の「リスク許容度」を超えて投資をしている場合は、相場が落ち着いたタイミングで、預貯金の比率を上げるなどポートフォリオの見直しを検討すべきである。

3. 投資の目的は変わっていないか

新NISAを利用している目的は、老後資金の形成や子供の教育費の準備など、10年、20年先のものではないだろうか。短期的な相場の嵐は、長期的な投資目標を揺るがすものではない。目的が変わっていないのであれば、航路を変更する必要はない。


結論:長期投資は「嵐」を前提に設計するもの

暴落や戦争といった「嵐」は、長期投資を続けていれば必ず遭遇するイベントだ。だからこそ、最初から嵐が来ることを前提に、家計全体の設計を行っておく必要がある。

積立投資は数日や数ヶ月の利益を追うものではなく、数十年という長い時間をかけて資産を育てるプロセスだ。目先のノイズに惑わされず、淡々と継続することが、最終的な成功への唯一の道となる。

監修:かながわFP相談所 FP金川

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かながわFP相談所(奈良県橿原市)は保険・NISA・住宅ローン・ライフプランを中立な立場でサポートする独立系FPです。橿原市・奈良市・大和高田市・桜井市など奈良県全域+全国オンライン対応。

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かながわFP相談所

この記事を書いた人

かながわFP相談所

AFP2級FP技能士宅地建物取引士二種証券外務員

奈良県橿原市の独立系FP。外資系生保・乗合代理店・不動産会社での実務を経て独立。特定の保険会社・金融機関に属さない中立的な立場から、保険見直し・NISA・住宅ローン・ライフプランニングなど家計全般のご相談に対応。IFAとして資産運用アドバイスも行っています。

奈良・橿原でFPとして活動を始めて8年。2025年に二度の手術を経験し、病室で痛感したことがあります。人は心身が揺らいだ瞬間、どれほど知識があっても正しい判断ができなくなるという現実です。数字の正解より、迷った瞬間に隣で一緒に地図を広げる存在でありたい。

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